第四章
[8]前話
「それならいいね」
「そうですね、では」
「この船の名前はメイフラワーだ」
ジョーンズは今度は船を見て言った。
「希望、新大陸という希望の地にだ」
「希望を持ってですね」
「そのうえで行くから」
それ故にというのだ。
「その名前だ、では今からだ」
「希望の船に乗り込んでですね」
「希望の地に行こう」
「そうしますね」
「そう、そして」
ジョーンズはさらに言った。
「希望の地で皆暮らすんだ」
「これからは」
「そうするんだ、皆乗ってくれ」
船長としてそこにいる全員に告げた。
「これから希望を胸に行こう」
「希望か、忘れていたな」
「そうね」
妻は夫の言葉に頷いた。
「これまで逃げることばかり考えていたけれど」
「迫害から」
「けれどね」
「そう考えてもいいな」
「私達は希望を持ってね」
「希望の地に行くんだ」
「そうよね、そして希望の地でね」
そこでというのだ。
「これからはだよ」
「幸せに暮らすのね」
「自由があって」
「そして迫害もない」
「最初は何もなくとも」
それでもというのだ。
「そこから全てを築いて暮らせばいい」
「そうよね、それじゃあ」
「行こうか、希望の地に」
「そうしましょう、これから」
妻は今は笑顔だった、そうしてだった。
夫と共に子供達を連れて希望の船に乗り込んだ、船は暫くして出湊し大海原に乗り出していった。そのうえで。
大西洋を渡り新大陸に辿り着いた、人々はその地に降り立ってだった。
「ここで暮らそう」
「ここを我々の場所にしよう」
「信仰を守ろう」
「そのうえで生きていこう」
口々に言って早速だった。
家や畑を築き暮らしはじめた、この地をニューイングランドと名付けたうえで。
アメリカという国が生まれる前の話である、この国に来た人は多いが最初に来た人々の心には何があったか。
実に様々な感情があった、だがそこには確かに希望があった。その希望を胸に海を渡ってであった。
新大陸に来て暮らしはじめた、そうしてアメリカという国が生まれた。この国は希望が生んだ国と言えるであるうか。その歴史を見ると。
船の名前 完
2022・11・12
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