第三章
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「是非ね」
「そこに行ってか」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「生きるのよ」
「そうか、あそこには自由があるか」
「新大陸にはね、そしてここに残っても絶望しかないけれど」
それでもとだ、妻はさらに言った。二人共元々ピューリタンらしい質素で清潔な身なりであるがこの時もだった。
「あちらには希望があるわ」
「希望か」
「それがあるのよ」
こうも言うのだった。
「だからね」
「今からか」
「船の乗りましょう」
「希望があるからだな」
「だからね」
「そう、希望だ」
ここでだった。
船長のクリストファー=ジョーンズ大柄でしっかりとした顔立ちを持つ彼が皆に対してこんなことを言った。
「それだ」
「それ?」
「それっていうと」
「我々は希望の地に行くんだ」
こう言うのだった。
「それなら船の名前もだ」
「あの、まさか」
「船の名前は」
「まだ決めていなかった」
ジョーンズは夫婦に答えた。
「そうだったんだ」
「そうでしたか」
「まだでしたか」
「ぞうだったが」
それがというのだ。
「今閃いた」
「ではどういった名前にしますか?」
夫がジョーンズに問うた。
「一体」
「メイフラワーにしよう」
ジョーンズはその夫に答えた。
「ここは」
「メイフラワー、それは」
「そう、あの花の名前にしよう」
「それはどうしてでしょうか」
「この花の花言葉からだよ」
夫に今度はこう答えた。
「花言葉が希望だからね」
「そうなのですか、花言葉からですか」
「そう、花言葉が希望なら」
メイフラワーのそれがというのだ。
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