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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第89話 自称後見人
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に到着してから補給と補修は継続的に行われているから、取り立てて急ぐ必要はない。

「最初の留守番はカステルとジュニアに任せる。索敵情報は適時伝えよ。報告の判断はジュニアに任せる。儂もしばらく横になりたいんでな」

 細かいことは伝えんでもよいと言わんばかりに、爺様はスタスタと艦橋背後のエレベータへと向かっていく。それにファイフェルと参謀長が付いていき、モンティージャ中佐は階段で戦闘艦橋へと降りて行った。結果的に司令艦橋にはカステル中佐とブライトウェル嬢が残されたわけだが……

「俺は戦闘に備えて在庫確認をしておくから、参謀長席には貴官が座っていてくれ」

 と、捨て台詞を吐いて早々に自分の仕事に没頭し始めるカステル中佐を他所に、俺は言われたとおり参謀長席に座ることになった。といっても何もすることがない。戦闘計画は今頃第八艦隊司令部がゴリゴリに詰めているだろうし、それに口を挟もうなんて気には到底なれない。

 ただすることもなく参謀長席に座っているのも気が引けたので、第四四高速機動集団の現有戦力を参謀長の端末を使って再チェックしていたところで、ブライトウェル嬢がトレーに軽食を詰めて持ってきてくれた。士官食堂のバイキングやカロリー重視の戦闘糧食ではなく、箱入りのハンバーガーと炭酸飲料のセット。赤地にMのプリントがされたポテトがあったら完璧な、そう完璧なマッ●バリュー。別に俺だけというわけではなく、カステル中佐のデスクの上にも同じものが置かれている。

「なにもそこまで気を使わなくてもいいぞ」
 礼を言ってハンバーガーを口に運ぼうとしたが、ブライトウェル嬢が俺の座る参謀長席の左わきで、無言で直立不動しているのに気が付いた。
「ブライトウェル伍長。六時間もしたら爺様達も起きてくるし、しばらく敵襲は想定されない。休めるうちに休んでおいた方がいい」
「はい。少佐。三時間後には休ませていただきます」
「次の戦いは間違いなく長期戦だ。最低でも二〇時間は眠れないと思った方がいい。悪いことは言わないから、少しでも横になって寝ておきなさい」
「……少佐」

 返事を聞くまでもなく俺がハンバーガーにかぶりつくと、ブライトウェル嬢は何か言いたそうにしてはいたが、一分後には敬礼してエレベータへと消えていった。それからしばらくして、いい感じに胃に血が下りて、清醒と癲倒が半々くらいになっているところに、トレーを持ったカステル中佐が皮肉っぽい声をかけてくる。

「流石に気が付いていないわけじゃないだろう?」
「……何にです?」
 言いたいことはわかるが、答えたくありませんという気持ちを存分に込めて応えたつもりだが、カステル中佐はまったく気にしない。
「ブライトウェル嬢の貴官に対する好意だよ。言わせるな、恥ずかしい」
「言ってて恥ずかしいと思う
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