第89話 自称後見人
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認した統合作戦本部長がへそを曲げるようなことはなるべく避けたい。そのあたりも含めて国防委員会にもちゃんと根回しした方がいいとは思うが、国防委員会に所属する怪物とシトレは、俺の処遇なども含めてもはや武装中立といっていい間柄だ。
「一番都合がいいのは、敵が近々でのカプチェランカ奪回を諦め、六月以降に出征してくるパターンだな」
そうなれば迎撃作戦となる為、予算の通りは早い。事前予算で六月にはダゴン星域のパトロールに一個艦隊があてがわれている。しかもその時には第四四高速機動集団はハイネセンに帰還している。半年せずして再出動しているのだから、三ヶ月程度の休暇を与えられても問題はない。
「そうなれば地上軍の制圧期間も大きく取れますからね。かつ十分な防御態勢も取れるでしょうし」
「その時は改めて地上軍への口利きをボロディン少佐にお願いすることになるだろうな」
「口利き、ですか?」
モンティージャ中佐が俺にそんなことを求めてくるというのも珍しい。だいたい機動集団のペーペー参謀が、地上軍にどんな口利きができるというのか? 俺が首をかしげると、中佐は興奮したチンパンジーのように目を輝かせてブライトウェル嬢の開いている教科書を指で叩いて言った。
「カプチェランカってな、惑星自体が金属鉱山みたいな星なんだ。分厚い氷の層はあるし、人間共の都合でろくな地質調査が行われていない。どうやったらこんなヘンテコな地質構造の惑星ができるのか、是非とも地上に降りて見たくてね。地層図も地質断面図も作りたいな。ボーリング機材も大気圏内航空機も地上軍なら持っているだろうし」
本当に好きなことになると、人間って急に早口になるんだよなぁ。俺は、中佐の豹変に引き攣り笑いを浮かべるブライトウェル嬢を横目に、そう思うのだった。
◆
二月二四日〇六〇〇時。
途中シドン星系にて補給船団と合流した第四四高速機動集団は、無事にカプチェランカ星系に到着した。三日間で後方からの追撃もなく、将兵の肉体的疲労は一応回復している。惑星カプチェランカ周辺宙域は味方艦ばかりで、今のところ敵影はない。
「どうやら息災でなによりだな」
「それはこちらのセリフですよ。ボロディン先輩」
「ヤン、俺は皮肉を言ってるつもりなんだが?」
「十分承知してますよ。パンチ力が足りません。キャゼルヌ先輩の域にはまだまだ」
第四四高速機動集団の合流により、作戦指揮官シトレ中将の命令で第八艦隊旗艦ヘクトルの会議室に作戦麾下全部隊の指揮官幕僚が集められた。第四四高速機動集団が集積したアスターテにおける帝国軍の行動の確認と、今後の作戦遂行における各艦隊の行動確認というところだ。
そこで当然第四四高速機動集団のエル=ファシル星系からカプチェランカ星系迄の行動を説
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