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渦巻く滄海 紅き空 【下】
七十二 光と闇
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厳重に保管されている巻物を奪取する目的で木ノ葉の里に潜入し、捕らえられたススキは、木ノ葉厳重警戒施設に収容され、そこで同じく囚人であったミズキと知り合う。

その時に、お人好しのふりが得意なミズキへ、鬼の国に伝わる秘術をススキは教えたのである。



同盟国の鬼の国にいずれ引き渡す手筈になっていたが、己の不手際で紫苑に迷惑がかかると考えたススキは牢の中で自害。
そのせいで鬼の国と木ノ葉には亀裂が入り、後々『暁』に依頼をした鬼の国の巫女の紫苑がナルトと出会うのは別の話だ。

とにかくも中忍試験時に、ナルトのおかげで木ノ葉厳重警戒施設から脱獄させてもらったミズキは、久方ぶりのナルトの指示に従って、霧隠れの鬼人との共同任務にあたった。


中忍本試験前に、桃地再不斬と協力してサスケに変化し、木ノ葉病院でサスケを襲撃したカブトを騙す。
その時にナルトへ渡してもらうよう再不斬へススキの遺書を託した。


このススキの遺書は、後にナルトが白に氷遁で凍らせ、紫苑の部下である足穂の手に渡ることとなるのだが、ミズキにとってはどうでもいいことだった。

それよりも脱獄囚であるミズキ自身はしばらく身を潜めて機会を窺わなければいけなかった。
誰かに成りすます為に。


その機会はすぐに訪れた。
『木ノ葉崩し』決行計画書の引き渡しで砂と音が密会していた夜。


それを目撃してしまった月光ハヤテの死を確認したミズキは、すぐさまその遺体を隠した。
奈良一族のみが立ち入れる森の奥に地中深く埋め、ミズキ自身はススキから教わった術を実行したのだ。




【影鏡身転の法】――円形の陣の中で発動し、他人に変化する云わば変化の術。ただし、ただの変化とは異なり、声までも本人そのものとなり、その人物に成り切る術。

初歩の部類に属する変化の術とは異なり、その者の身体を完全に他者の肉体に作り変えてしまう。つまり、一度、この術を使えば、もはや元の姿には戻れないのだ。



その瞬間、ミズキは己自身の顔も姿も名も失い、等価交換として月光ハヤテに成り代わった。



怪しまれないように、中忍試験で使われた『地の書』に施された睡眠の術式を自分自身に掛ける。

中忍第二試験の課題で使った『天の書』と『地の書』。
催眠の術式が施されているその巻き物を開けば、五日は眠り続ける羽目になるのだ。

案の定、五日間、ハヤテの顔となって、ミズキは木ノ葉病院で眠り続ける。
目覚めた時は、ナルトが窓辺に腰掛けていた。

月光ハヤテ本人を殺したのかどうかのナルトの問いかけには、既に死んでいたと答えた。
そんなミズキに、ナルトは数枚の書類を投げて寄越した。
その書類にはミズキがハヤテに成り代わるのに十分な情報が施されており、隠し事
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