錬金術師
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形はマスターが現れたからか、彼を守るように前へと移動していた。
「俺は"人"を作る錬金術師。人体錬成のプロなのさ。かつてエレフセリアの下で魔導士としての修行をしていた。だが・・・どうも俺には素質がなかったらしい。やがて俺は奴の下を離れ錬金術の道を進んだ」
昔話に花を咲かせ始めたデューク。全員がそれに聞き入っているが、これは都合がいい。俺は全員の視線が彼に向いているのを確認すると、行動に移した。
シリルside
突如現れた黄金の梟のマスター・デューク。そのただならぬ雰囲気の男性の話しに俺たちは耳を傾けていた。
「俺の名が有名になってくるとエレフセリアの方から訪ねてきたんだ。五神竜を倒せる兵器を作ってくれ・・・と。
そこで作り上げたのがアテナ。俺の最初の人体錬成にして最高傑作」
エレフセリアさんがアテナのことを知っていたのは彼自身が弟子であるデュークさんに作らせたから。ただ、彼の言葉を聞いた二人の人形は悲しそうな顔をしていた。
「そ・・・そりゃねーですよ」
「俺たちは最高ではない」
相当な実力を有しているのは彼ら自身も自覚しているのだろうが、それ以上の存在がいると言われては立つ瀬がない。そんな二人の反応を見てデュークはフォローを行っていた。
「スマンスマン。お前たちも我が錬金術の誇りだよ。より人間に近い存在だ」
何やら意味深とも取れる言い方に引っ掛かりを覚えたが、デュークはなおも話を続ける。
「アテナは処女作ゆえ作りが甘い。だがその不完全さがいい・・・しかしアテナは俺やエレフセリアの期待を裏切り逃亡・・・姿を消した。最近になってやっと見つけたんだ」
「オロオロ・・・まさかイシュガルにいるとは」
「うむ」
その逃亡中に白魔術教団を立ち上げ白魔導士と呼ばれるようになったのか。つまり彼は100年以上前から錬金術を行っていることになるのか。
「兵器として作られた自分に嫌気が差したんじゃないのか?」
核心をついたようなローグさんの言葉。しかし、それを聞いた老人は不敵な笑みを浮かべていた。
「奴にそんな感情はない。ただただ人間になろうとした結果、白魔導士となった」
「人間になろうとした結果が白魔導士?」
「どういうこと?」
「さっぱり意味がわからん」
なぜ人間になることと白魔導士になるのとが繋がるのか。それはその場にいる誰にもわからなかった。
「ん?」
アテナの目的が何なのかわからずに思考を張り巡らせていた中、俺は違和感を覚え周囲を見回していた。その間にもデュークは話を続けている。
「そこは俺にもわからねぇ。だがゲンナイとコウテツが人だとしたら、アテナはまだ人形なの
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