監督役のサーヴァント
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たことないはずだけど? そもそも、初対面でしょ」
「おまんのことあらへんわ。おまんと同じ、ウィザードにやられたんや」
「何言っているんだ?」
眉をひそめながら、ハルトはアマダムを睨む。
だがアマダムはハルトの視線に応じることなく、自らの指を撫でた。
「ほんまにひどい目に遭ったで。ウチらの自由への出発がダメにされたんやからな」
「自由?」
「……こっちの話や」
アマダムは笑みを浮かべたまま、コエムシの手からルビーの指輪を取り上げる。
『ああ、オイコラ!』
「ウィザード。指輪のないお前など、赤子の手を捻るよりも簡単に潰せるんや。さてさて、どないしよ」
「ちょっと待ちたまえ」
指輪を手玉にしながら歩き回るアマダムの前に、海東が立ちはだかった。
「彼を渡す前に、約束を果たしてもらおうかな」
「なんや、ディエンド」
「交換条件は果たしたよ? ディケイドとウィザードたったね? ほら、二人はこうして僕が倒し、捕らえた。約束通り、聖杯を渡してもらおうか」
「面倒やなあ。なあ、マスター。どないんしょ」
アマダムは大きく首を振った。
すると、何時の間にいたのだろうか。祭壇には、コエムシの隣にもう一体の妖精がいたのだ。
『どうして君はそうやってできもしない口約束をしてしまうんだい?』
それは、四足歩行の妖精。
白い胴体と、ところどころに入る桃色の模様。赤い瞳が埋め込まれた顔には、一切表情が動くことがないそれを、ハルトは良く知っている。
「キュゥべえ!」
『やあ、ウィザード。まさか本当に連れてくるとは思わなかったよ』
キュゥべえ。
ハルトや可奈美などを聖杯戦争に招き入れた監督役である。
愛らしい外見をしているが、見滝原で行われているこの聖杯戦争の監督役、その中心であり、幾度となくハルトたちの前に現れては、脅威を作り上げてきた。
キュゥべえはコエムシと同じく、声なき声で首を振った。
『悪いね、ウィザード。僕たち監督役がここまで一参加者に関わるのは褒められた行動ではないんだけど、今回は僕のサーヴァントがどうしても君に会いたいと言って聞かなくてね』
「お前のサーヴァント?」
ハルトは驚いて、アマダムとキュゥべえを交互に見やる。
キュゥべえはしばらくアマダムを見やり、その大きな尾をハルトへ見せつける。
果たしてそこには、ハルトの右手にあるものと同じように、令呪が刻まれていたのだ。
「キュゥべえ……お前……!」
『ルーラーは通常のサーヴァントとは違う』
ハルトの疑問を遮るように、キュゥべえは説明した。
『聖杯そのものが召喚したサーヴァントだよ』
「聖杯そのものが……!?」
『ルーラーは、調停役のサーヴァント。聖杯戦争の異常
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