第二章
[8]前話
二人は食事それに酒も楽しめた、それから旅館の湯を楽しんだが。
その後でだ、美智恵は部屋の中で浴衣姿で部屋の真ん中を見回して言った。
「あの、お布団だけれど」
「一つですね」
「枕二つでね」
同じく浴衣姿の久慈に言った。
「そうだけれど」
「僕椅子で寝ますから」
久慈はその椅子に座って答えた。
「そうしますから」
「風邪ひくわよ、結構寒いし」
「それでも流石に」
「駄目よ、こうなったらね」
美智恵は自分の向かい側に座っている久慈に強い声で言った。
「覚悟決めたわ」
「覚悟っていいますと」
「同じお布団で寝ましょう」
「あの、それって」
「私今彼氏いないから」
美智恵は顔を討つ向けさせて言った、顔が赤くなっているのは酒と温泉だけのことではない。
「いいわよ」
「それ言ったら僕も」
「彼女さんいないの」
「大学時代に別れてから」
「そうなのね、じゃあね」
「一緒にお布団に入ってもいいですか」
「いつもお仕事助けてもらってるし」
会社でのことも話した。
「優しいし明るいし嫌いじゃないから」
「それ言ったら僕も教えてもらって」
「私のこと嫌いじゃないの」
「いつも親切で思いやりがあって」
「それでなの」
「主任なら」
「じゃあね」
ごくりと喉を鳴らしてだ、美智恵は言った。
「今から寝ましょう」
「わかりました」
灯かりを消した、二人の夜は長かった。そして。
この時から美智恵は久慈と付き合う様になった、そうして名字が久慈となった。そのきっかけが旅館でのことからというのは二人だけの秘密だった。しかしその秘密は二人にとっては忘れられない甘い秘密であった。
温泉で一緒の部屋になって 完
2023・5・25
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