人間とドラゴン
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た。
「セレーネよ。ワシからも謝罪させてくれ・・・人間は不条理にドラゴンの命を奪ってきた・・・お互い様だったんじゃな。すまなかった」
双方の和解を得たことでこれは月神竜を封じたといっても良いだろう。
『これからは仲良く・・・は無理かもしれぬが、互いの存在を尊重してこその対話であろう』
「うむ。だがビエルネスとイグニアは脅威だ。ドラゴンだならではない、その力が人類を滅ぼすほどの力だからだ」
いまだに全貌が見えない二頭のドラゴン。彼らがいる限り、二人の戦いは終わったとは言えないのだろう。
『して、エレフセリアよ。神竜をも貫く人間界最強の兵器"アテナ"はどこにある』
セレーネからの問いかけ。彼女が探している人間たちの負の遺産とはそれのことだろうか?
『アテナ?』
「それがじーさんの心臓に記録されてるっていう兵器なのか?」
「かわいい名前だね」
『女の子の名前みたいですね』
フェイスやエーテリオンに比べると確かに人に近い名前。ただ、それがどういったものからセレーネも把握していないらしい。
「あれは今は亡きワシの弟子が作った兵器。ワシにもその場所はわからぬ」
『そうか・・・』
エレフセリアさんに弟子がいたというのは驚きだけど、そんな人がドラゴンをも倒せる兵器を作ったなんてスゴすぎる。一体それが何なのか、気になってしょうがない。
「そのアテナがあれば神竜を倒せるんですか?」
「セレーネ・・・お主はどこでその情報を手にした?」
どうやらアテナが確実にドラゴンに通用するかは未知数なようで華麗にスルーされてしまう。
『様々な世界を転々とした、そこにはここと似た世界もあった・・・』
「他の世界にアテナが!?」
『いや・・・どこでもアテナは失われていた。この世界以外ではな』
エドラスのような平行世界は他にもたくさんあることが驚きだけど、この中で唯一の希望とされるアテナがあるのはここだけというのも厄介な話。ただ、エレフセリアさんからすればそれは希望ではないようだけど・・・
「あれは人類の負の遺産じゃよ・・・」
「んなのどーでもいいよ。ぶん殴って倒す」
入浴中なのにすでに臨戦態勢のナツさん。だが、セレーネはある一つの情報だけは持っているようだ。
『いいや、金神竜ビエルネスはぶん殴れない。あれは概念。存在するが存在しないドラゴンだ』
「概念?」
思わず問いかけた俺だったが、セレーネもそれ以上はビエルネスのことを知らないらしい。五神竜の誰も居場所もどのようなドラゴンかもわからない金神竜・・・それがどんな奴なのかわからないまま、この話し合いは終了するのだった。
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