第一章
[2]次話
犬は耳もいい
「クゥン?」
「あれっ、ふわりどうしたんだ?」
ふわりの飼い主である国崎家の息子でラーメン屋で働いている洋介は自分のケージの中で丸くなって寝ているふわりがふと目を覚まして顔を上げたのを見て彼女に尋ねた。
「一体」
「今お母さんが台所でしゃもじ落としたからかしら」
キッチンから母の百合子が言ってきた。
「それでかしら」
「大した音じゃなかっただろ」
洋介は自分のところに来た母に顔を向けて言った、今彼はリビングで自分のスマートフォンで今話題のドラマを観ている。
「俺別に気にならなかったぜ」
「それはあんただからよ」
「俺だからか?」
「もっと言えば人間だからね」
母はリビングに来てテレビを付けて言った、そしてDVDをセットして昔のドラマを観ようとしている。
「それでよ」
「人間だからか?」
「犬は耳もいいのよ」
母はドラマがはじまったのを確認しつつ話した。
「実はね」
「鼻がいいだけじゃないんだな」
洋介は犬の代名詞とも言えるこのことを思った。
「そうなんだな」
「そうよ、お鼻が凄くよくてね」
それだけでなくというのだ。
「耳もね」
「いいんだな」
「耳がいいと言えば猫だけれど」
この生きものだというのだ。
「犬もなのよ」
「耳がいいんだな」
「狼で人間の八倍よ」
この生きものもというのだ。
「それで犬は元々狼なんだよ」
「そうだよな」
洋介は母の話にふわりを見つつ応えた、見ればふわりは起き上がったが何もなくてまた丸くなった。
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