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俺様勇者と武闘家日記
第3部
ルザミ
辺境の島ルザミ
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という名の国を探しているんだが、何か知っているか?」
「じぱんぐ? さあ、聞いたこともないなぁ」
 ユウリの質問に、男性はさっぱりわからないといった表情で答える。ユウリもあまり期待していなかったのか、変わらぬ表情で男性にお礼を言う。
「そうか。邪魔したな」
「あっ、待ってくれ!」
 帰ろうとしたユウリを、何かを思い出したのか男性が引き止める。
「さっき言ったフィオナなら何か知っているかもしれないぞ。何しろあの子はかつて学者だった人の子孫だっていうからな」
「なるほど。一理あるな」
 男性の考えに納得するユウリ。確かにそう言う家系なら、何か知っているかもしれない。
「あの丘を越えてずっと真っ直ぐ行くと、白い建物が見える。そこがフィオナの家だ。行けば一目でわかる」
 確かに、この緑豊かな場所で白い建物があれば、すぐに目に入るだろう。
「わかりました、いろいろと教えて下さってありがとうございます!」
 男性にお礼を言うと、私たちは早速男性が教えてくれた方向へと向かうことにした。
 


 絶景が広がる孤島に上陸し、歩き回ること小一時間ほど。
 緑溢れる大自然の中、ちらほらと点在する家々の間を通り抜けると、林に入った。そこからろくに手入れされていない林道を通ると、木々の隙間から覗く高台に、奇妙な形の白い建物が建っているのが見えた。
「あれって、何の建物だろう?」
 私の疑問に、皆誰も口を開かない。つまり誰もピンと来ないようだ。
 それもそのはず、円柱状の白い建物はてっぺん部分がドーム状になっている。端から見ると小さな灯台にも見えるのだが、ドーム状の部分にはなぜか細長い棒状のものが刺さっている。さらにその棒の先端にはガラスのようなものが張ってあるのか、日の光を反射して光り輝いており、どういう意図で設置してあるのか、まるで見当もつかないのだ。知識の豊富なユウリやシーラでも初めて見る建物らしく、訝しげに見上げるのみであった。
「ま、とりあえず行ってみようぜ」
 これ以上考えても無駄だと悟ったナギが、一足先に高台を上り、建物の入り口まで向かう。すると、なぜか中途半端な位置で立ち止まってしまった。
「……」
 そしてそのまま考え込むように、建物をじっと見つめている。
「どうしたの、ナギ?」
 何かあったのかと思い、私が声をかけると、はっとしてこちらを振り向いた。
「あ、ああ、悪い。なんでもない」
 何でもないといいつつ、どうにも歯切れの悪い様子だ。私は不審に思いながらも、彼がそう言うのならとこれ以上何も言わなかった。
「なにモタモタしてるんだ。いいから行くぞ」
 一向にその場から動かない私たちに痺れを切らしたのか、ユウリがナギの横を通り過ぎて建物の前に立ち、扉を数回ノックした。
「?」
 だが、いくら待っても反応
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