第3部
ルザミ
辺境の島ルザミ
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も私の後に続く。
「こりゃ驚いた。よそから来た人間を見るのは、何年ぶりだろう」
顔に刻まれた無数のしわを思い切り引き延ばすかのように、その男の人は私をまじまじと見ながら言った。
「すみません。ここはルザミの島で間違いありませんか?」
「ああ、そうだ。だがあんたたちみたいに、ここをルザミの島と知ってやってきた旅人は初めて見るよ。ほとんど偶然ここを通りかかったか、他の国で島流しにされた罪人しかやってこないからな」
「罪人!?」
ユウリたちの言うとおり、やっぱりここは流刑の島なのだろうか。
「この島って、罪を犯した人が沢山住んでるんですか?」
おっかなびっくりな私の問いに、男性は思いきり頭を振った。
「いやいや、とんでもない! それはずっと昔の話だよ。今はほとんどがその罪人たちの子供か子孫ばかりだよ」
「そうなんですか……」
罪人だらけの島と聞いて焦ったが、その言葉に再度胸を撫で下ろす。
「ほとんどと言うことは、そうでない奴も少しはいると言うことか」
「え!?」
ユウリの指摘に、私はびくりと肩を激しく震わせると、恐る恐る男性に尋ねた。
「もしかして今も罪人が……?」
「いや、やってきたのは一人の海賊だよ。と言っても、ここに移住して何年も経たないうちに亡くなってしまったがね」
「海賊!?」
これはまた物騒な話だ。でも、亡くなっているって……。
「なんで海賊がここに移住なんかしたんだ?」
腑に落ちない顔で、ナギが問う。男性はずっと誰かに話したくてうずうずしていたのか、急に流暢に喋りだした。
「その海賊は、海賊船から落ちてここまで泳いできたって奴なんだ。それだけでも相当奇跡だが、そいつはその後、島の女性と恋に落ち、なんと結婚までしちまったんだ」
「へえ〜! 結婚しちゃうなんて、ロマンチック〜☆」
結婚、の言葉を聞いて、途端にシーラが色めき立つ。
「いや、どんだけ体力あるんだよ、そいつ」
「随分間抜けな海賊がいたもんだな」
対して男性陣の冷静なツッコミに、一気にその海賊の印象が変わってしまった。
「まあ、話が聞きたければあの丘の向こうの高台に行ってみな。その結婚相手ってのが、あそこに住んでるフィオナって言うべっぴんさんだからよ」
「フィオナさんって言うんですか」
海賊の心を射止めたフィオナさんと言う人物に、俄然興味が湧いてきた。ジパングの場所よりもそっちのほうが気になってしまう。
「そう言えば、あんたのその髪の色、フィオナにそっくりだ。この島じゃあフィオナのほかに銀髪なんて見たことないからな」
「え、オレ?」
男性はナギの方を指差すと、物珍しそうに眺め見た。
銀髪自体、割と珍しい髪の色なので、こんな辺鄙な場所でナギと同じ髪の色がいることに驚いた。
「そんなことより、『ジパング』
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