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俺様勇者と武闘家日記
第3部
ルザミ
辺境の島ルザミ
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波止場が設けられており、船から降りて周囲を見渡すと、舗装された道が波止場から集落へと続いている。
 ここまでの道程に人影は一切なく、聞こえるのは鳥のさえずりと風が木々を揺らす音のみ。まるで俗世から離れた自然の楽園のようだった。
「本当にこんなところに人なんているのかな?」
 木漏れ日を浴びながら、私は誰にともなく呟く。
「うーん、でも波止場の辺りは古いとはいえ整備されてるんだよね。なんでこんな秘境みたいな所なのに人が行き来できる場所は整ってるんだろう」
 シーラの疑問ももっともだ。剥がれかけたレンガ張りの路面に目を落としながら、私も一緒になって考え込んでいると、
「おそらくここは流刑の島なんじゃないのか?」
「流刑の島?」
 前を歩くユウリがそんなことを言って来たので、私は思わず顔を上げた。
「あ、そーかもしれないね☆」
 シーラもユウリの言葉に合点がいったのか、ポンと手を叩く。
「だから何だよ。流刑の島って」
 理解できないナギが私の心を代弁するかのように尋ねる。するとユウリは説明するのも面倒という風にナギと私を一瞥した。
「国を揺るがすほどの大罪を犯した者が罰として送られる辺境の島ってことだ。そこに送られたら最後、一生国には帰れないと聞く」
「えーと、てことは、ここは犯罪者が住む島ってことか?」
「……そうとも言い切れないな。大昔の大罪人が子孫を作って、その子孫が今ここに住んでいる場合もある」
「そっかあ、よかった……」
 犯罪者が住むような恐ろしい島なのかと思い、私はほっと胸をなでおろす。じゃあルカが助けたというこの島の人たちも、もしかしたらその子孫なのかもしれない。でなければルカの店を作る手伝いなんかしないはずだもの。
「だからといって犯罪者がいないとは言ってない」
「ええっ!?」
 安心したと思いきや、再び愕然となる私。そんな私の反応を楽しむかのように、ユウリは小さく鼻で笑った。
「そうだ。念のため、山彦の笛を吹いてみるか」
 ユウリは鞄から、アープの塔で手に入れた山彦の笛を取り出した。こんな絶海の孤島に何度も足を踏み入れる機会など殆どない。もしオーブがあるのに気づかなければ、再びここにくるのは難しいだろう。
 早速ユウリは笛を奏でる。しかし山彦は返ってこなかった。
「そう簡単には見つからないか」
 結局オーブは諦めてしばらく歩いて行くと、開けた場所に出た。広大な畑には様々な作物が実っており、とてもおいしそうだ。
 畑の向こうには数件の家が建ち並び、その中の一件の家の前に目を向けると、一人の年配の男性が作業をしていた。
「どうやら無人島ではなさそうだな」
 若干ホッとした顔で、ユウリが呟いた。
「あの人に聞いてみようよ。すいませーん!!」
 私は早速その人のもとへと走っていった。ユウリたち
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