第3部
ルザミ
辺境の島ルザミ
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た。
「う〜ん、あたしの回復呪文じゃあ疲れをとることはできないからなあ。それにレベルアップで覚えた呪文もナギちんの助けにはならないし」
賢者となったシーラの今のレベルは5。時々船を襲う魔物と戦っているうちに、彼女のレベルもいくつか上がったのだ。
「……あ、これならどうかな?」
何か思いついたのか、目を光らせたシーラがおもむろにナギの顔の前に手を突き出した。
「お、おい、何を……」
「ヒャド!!」
パキィィン!!
突如シーラが唱えたのは、氷の呪文だった。なんと彼女の放った氷の塊は、ナギの両目に直撃して張りついたではないか。
「なっ、何だ!? 冷てえ!! 痛え!!」
「疲れた目には、冷やしたほうがいいかなと思って」
「シーラ、それはちょっとやりすぎだよ!」
「ふん。俺がいない間にずいぶんと面白そうなことをやってるじゃないか」
突然現れたユウリの登場に、嫌な予感が生まれる。
「ふざけんな!! この状況を見てお前ら何とも思わねえのかよ!!」
ナギの絶叫が食堂に響き渡る。さすがにかわいそうになった私は、すぐにナギの両目にくっついたまま剥がれない氷塊を取ろうと手を伸ばすが、ナギに思いきり振り払われる。
「バカ!! 引っ張ったらオレの目まで取れちまうだろ!!」
「わあ、ごめん!!」
なんて焦っていると、今度はユウリがナギに向かって手をかざす。
「メラ」
ぼおっ!!
「ぎゃああああああ!! 目が燃える!!」
ユウリがメラをナギの顔に向かって放った途端、氷は溶けたものの今度は目が炎に包まれてしまった。
「なっ、ナギ!! 大丈夫!?」
「ホイミ!」
私の声に反論する間を与えず、シーラが先手を打って回復呪文をかけてくれた。瞬時にナギの顔のやけどが治る。
「もう!! 二人ともナギの目をなんだと思ってんの!?」
たまりかねた私が二人を叱ると、さすがに反省の色を見せる。
「えへへ……、覚えたての魔法だったからつい調子に乗って……」
「ふん。いつもより火力は抑えていたつもりだ。……たぶん」
「そうじゃなくて、『ごめんなさい』は!?」
『……ごめんなさい』
いつになく怒っている私に気圧されたのか、シーラだけでなくユウリまでもが素直に従った。
「ミオ……。お前本気で怒ると怖いんだな」
ぼそりとナギまで若干引いた目で呟く。いや、なんでナギまでそんな顔で私を見るの!?
そんな他愛ないやり取り(?)をする中、五日目にしてようやくルザミの島を見つけることができたのであった。
遠くから見るとその島は、海に浮かぶ小さな山のように見えた。山の麓には数件の家と畑があるのみで、僅かな人工物がむしろ不自然に思えるほど、人間が住んでいるような雰囲気は感じられなかった。
だが海岸には、船が泊められる
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