第二章
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それを鈴子に言った、由香に言うことはないと。
「お前が奇麗にしていればいいんだ」
「あんたのお部屋や身体をね」
「由香は由佳だ」
「あんたじゃないからね」
「けれど気になるから」
鈴子は眉を顰めさせて両親に言った。
「あの娘汚いから」
「それはお前が思うだけでな」
「あの娘もあの娘でちゃんとしてるのよ」
「それに他の人から見たらな」
「あんたの方が奇麗過ぎるのよ」
「それであれこれ由香に言ってみろ」
「由香に嫌われるわよ」
妹である彼女にというのだ。
「由香に嫌われたくないでしょ」
「お前にしてもそうだろ」
「それはね」
鈴子も人に嫌われたくはなくこう答えた。
「私だってね」
「だったらな」
「由香にはあまり言わないの」
「お前が汚いと思っていてもな」
「他の人はそう思っていなかったりするのよ」
「自分はどう思っていても他の人は違う」
「そういうことだってあるからね」
こうも言うのだった。
「いいわね」
「これからはあまり言わないことだ」
「それじゃあ」
鈴子も頷いた。
以後由香に掃除しろだの入浴したなら隅から隅まで奇麗にしろとは言わなくなった、両親にさらに誰にも言わない様に言われてだった。
自分だけがそうしているとだった。
「あれっ、何か由香前よりも」
「掃除する様になったな」
「そうなったわね」
「ええ、何も言わないのに」
「言われなくても見てるんだ」
「人はそうなのよ」
両親は由香が前よりも掃除をしたりして奇麗にする様になったのを見て少し驚いた鈴子に対して話した。
「ちゃんとね」
「そうしているんだ」
「そしていいと思ったらね」
「真似るものだ」
「そうなのね、いつも言っても聞かなかったのに」
全くというのだった。
「言わなくて見ているとなの」
「する様になるんだ」
「むしろ言われると嫌になってかえってしなくなる人もいるのよ」
「由香はそうだ」
「あの娘は怒られると縮こまるでしょ」
両親は由香のそのことも話した。
「だからね」
「時には言う必要もあるけれどな」
「あの娘はそうした娘だから余計にね」
「言うんじゃないぞ」
「人は言うより見せるんだ」
「自分のしていることをね」
「そうすることね、わかったわ」
鈴子はまた両親の言葉に頷いた、そしてだった。
その様にしていくと実際に由香は鈴子を見習う様にして次第によくなった、その中で鈴子は由香がいつも持っているぬいぐるみに他のものも大事にしているのを見てだった。
自分もものを大事にする様にした、そして互いに見習い合い成長していった。それは二人が大人になってからも続いた。
片付けなくてはいられない姉 完
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