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SAO−−鼠と鴉と撫子と
21,亀裂
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びとはちごうてなぁ」

傲岸不遜に宣言して、今度こそキバオウ達は歩き出した。
馬鹿みたいに規則正しい歩みで圏外の方へと行進するグレーと赤の一団の背中を俺たち三人はしばらく見つめていた。

周囲のプレイヤーたちも一人一人、沈黙から抜け出して日々の商売に戻っていく。その流れに乗るように、俺もヤヨイの肩に手を乗せた。

「ヤヨイ、行こう。これじゃ通行の邪魔になる」
「……あなたはいいんですか?命を懸けて、稼いできた情報なのでしょう?」
「……別に金に困ってるわけでもないし、名誉とか感謝が欲しいわけでもないしな」

それを聞いてヤヨイは俺の手を振り払うように距離を取った。その眼は強い意志をもって俺に向けられている。

「なら、あなたは何で戦うんですか?何もいらないのに、命を懸けられるわけがない。そんなに私たちは綺麗には出来ていない」
「……そんな難しく考えずにさ。アルゴやヤヨイに死んでほしくないから、じゃ駄目なのか?」

俺だってそんな出来た人間じゃない。ただ、目の前にいる人たちが今のままでいてほしい。

「その為に、自分が死んでも惜しくない、と?」
「実際、死んでないんだ。結果オーライでいいじゃんか」
「……それは間違ってます。そんな考えでは、いつか誰かが死んでしまう」

切実な表情でヤヨイは何かを口ごもった。
けど、正直。俺には何をそんなに怒っているのかがわからなかった。
俺はただ、大切な人を守りたいだけ。それだけなのに。

「二人とも、それくらいにしとけヨ。いい加減、邪魔になってるからサ」
「ああ……」
「……わかりました」

アルゴのとりなしで、二人ともぎこちなく歩き出した。

だけど、心の奥底に小さなしこりが残っているのを俺は感じていた。
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