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SAO−−鼠と鴉と撫子と
21,亀裂
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えたところで前方から規則正しい足音が響いてくる。

アインクラッド広しといえど、こんな馬鹿みたいにそろった移動を行えるのは1つだけだ。
この荒野のイメージに合ったグレーを基調とした一団は俺達の前でピタリと止まった。

「何や《宝漁り》。こないなトコで何をサボッとんのや。ジブンらは仕事せんかい」
「随分だなキバオウ。お前らこそ少し朝寝坊が過ぎるんじゃないのか?」

棘のあるやり取りに俺達だけではなく、周囲のプレイヤーたちの空気も急速に冷え込んでいく。
リーダーのすぐ後ろにいたプレイヤーが俺の態度に腹をたて、一歩前に踏み出してきた。
が、リーダーが軽く睨むとしぶしぶ元の位置に戻っていった。
群れを成すのを嫌うネットゲーマー達をここまで律することができるとは。この男、キバオウのリーダーとしての才覚を認めざる終えないだろう。

「それに、仕事ならほとんど終わってるよ。あと迷宮区までは自分たちで開拓してくれ」
ウィンドウからマップデータをアウトプットし、キバオウに投げ渡す。片手で受け取ったキバオウは俺の安全ルートをしげしげと眺め、口を開いた。

「ふん。ほな、後はゆっくり昼寝でもして待ってろや」
「お前らこそ気を付けろよ。いくら大規模パーティーでも油断すると、一瞬だぞ」

わかっとるワイ、と振り向かずにキバオウは答えると、隊列に出発の号令をかけた。
相変わらず、馬鹿みたいに統率された動きで彼らは街中をこうしていこうとした。

「待ちなさい。貴重なマップデータを提供されてお礼の一つも述べたらどうですか?」
と、ヤヨイに呼び止められて再び停止した。

「おい、貴様。我々、アインクラッド解放隊は諸君ら一般プレイヤー解放の為に戦っているのだぞ!!」
先程、突っかかってきた男が真っ先に反応して、声を張り上げた。

既に得物のハルバードを抜刀し、街中だというのにそれを豪快に振り回した。
対するヤヨイもそれに合わせて左手で鯉口を切った。

いよいよ、マズイと思ったか周囲の生産職プレイヤー達が一斉にアイテムをしまいはじめる。
さすがに、ここで大立ち回りは拙いぞ。俺が二人の間に入ろうとしたとき、それより先に動く姿があった。

「コーバッツ、ちびっと静かにしとき」
「しかし、我々に……」
「コーバッツ」

キバオウはコーバッツと呼んだ男の肩に手を置いた。
コーバッツは一瞬だけ唇を噛みしめ、先ほどまでと変わらぬポーカーフェイスにもどった。

感心する俺たちにキバオウは向き直った。
その眼は冷たい光が漂っている。先ほどまでとは違うオーラを出して、口を開いた。

「部下がスマンかった。そやけど、ジブンらも一つ勘違いしてるよぅやから言うとくわ。ワイらは本気で全プレイヤーの為に攻略しとる。どっかの誰かみたく、遊
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