第二章
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良太は三時過ぎになってやっとケーキを作った、それは茶色のバウンドケーキで見た目は普通だったが。
散らかりきったキッチンを見てだ、昼は一家でデリバリーのピザを食べた悟は眉を顰めさせて言った。
「見た目は普通でもな」
「まずいか」
「そう言うんだな」
「絶対にそうだよ」
こう両親に言った。
「こいつが作ったのなんて」
「だが食うぞ」
「これから皆でね」
「うん、食べて」
作った良太はおどおどとしながらも必死の声で兄と両親に言った。
「何とか作ったから」
「ああ、そうするぞ」
「今からね」
「仕方ないな」
両親に続いて兄もだった。
テーブルに座ってケーキを食べた、それを四等分して食べるが。
一口食べてだ、悟は言った。
「焦げてないし中身生焼けでもないしな」
「僕本ちゃんと読んで作ったんだ」
良太が言ってきた。
「それでお砂糖もちゃんと測ったから」
「それで作ったなな」
「うん、そうしたけれど」
「それで食えるんだな、お店やスーパーの程じゃなくてもな」
それでもというのだ。
「食えるな」
「はじめて作ってこれならいい」
「頑張ったわね、良太」
両親は彼に優しい声をかけた、食べながらそうした。
「よくやったわ」
「じゃあ後片付けもするんだぞ」
「うん、そうするよ」
「最初は駄目で不器用でもな」
「やってみて必死に努力することが大事なのよ」
両親は彼にこうも言った。
「そうしたら上手になるから」
「これからも頑張るんだぞ」
「そうやっていったら僕もケーキ屋になれるかな」
「ああ、なれるぞ」
「絶対にな」
「努力か。俺も言われてるな」
テニスをしている時にとだ、悟は自分のことも考えて言った。
「それじゃあな」
「ああ、同じだろ」
「そうでしょ」
両親は悟にも言った。
「だからね」
「どんな子でも無理だ出来ないじゃないんだ」
「何でも一生懸命やることよ」
「それが大事なんだ」
「やりたいこと、なりたいものに対してね」
「お前のテニスと同じだぞ」
「そうなんだな、実際良太も出来たし」
不器用で鈍重な彼がケーキを作れたというのだ。
「俺もうそうしたこと言わないよ」
「そうするんだぞ」
「これからはね」
「ああ、絶対にな」
こう言ってだった。
悟はそうしたことを言うことはなくなった、そして良太はそれからも時間があればケーキを熱心に作り続け。
高校をそつぎょすると料理の専門学校からケーキ屋に弟子入りし立派なケーキ職人となった、そしてテニスから大学まで進学し体育教師になった両親と兄にも時々食べてもらった。その時の家族はいつも美味いと笑顔で言った。
弟の作ったケーキ 完
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