第一章
[2]次話
弟の作ったケーキ
小学五年生の武藤良太は非常に不器用であり動きも鈍い、学校の成績は普通だが兎に角そうした
面が目立つ少年だ。
そんな彼がある日学校で将来の夢を発表する時にこう言った、穏やかで気弱そうな顔の子で黒髪はショートにしていて背はかなりあるがオーラは弱いものだ。
「僕ケーキ屋さんになりたい」
「えっ、お前がケーキ屋!?」
「あんなに不器用なのに?」
「なれる筈ないでしょ」
「無理に決まってるだろ」
彼の言葉を聞いたクラウsメイト達は誰もが笑って否定した。
「ケーキ屋って手先使うんだぞ」
「それも凄くな」
「お前みたいな不器用な奴が出来るか」
「しかもクラスで一番どん臭いのに」
「なれる筈ないだろ」
「絶対に無理よ」
こう言うのだった、兎角だった。
誰も良太がケーキ屋になれるとは思わなかった、しかし。
その話を家で聞いた両親は彼に言った。
「じゃあ作ってみろ」
「なりたいならね」
「家でそうするんだ」
「あんた一人でね」
「本も材料も買って来るからな」
「しっかり勉強してからやりなさい」
「こいつがケーキなんて無理だよ」
良太と同じ学校に通っていて一学年上の悟はまさかという顔になってこう言った、彼は運動神経抜群で活発である、成績は普通位だがそうでありテニスをしている。外見は良太をきりっとさせた様なものだ。
「絶対に」
「やってみることだ」
「あんただって最初テニス下手だったでしょ」
「今は選手でもな」
「まずやってみることよ」
両親は彼にはこう言った。
「最初から出来ない、無理じゃないのよ」
「やってみることだ」
「それが大事なのよ」
「だから良太もまず作るのよ」
「こいつにケーキなんて無理だよ」
作るのが難しいとだ、悟は確信していた。だが両親はケーキ作りの本と食材を買ってきてまずは彼に本をよく読ませて。
そのうえでキッチンに立たせた、良太はキッチンでも本を読みながらそのうえで作っていったがやはりだった。
手の動きは不器用で鈍く誰が見ても酷いものだった、悟はそんな弟の動きを見て眉を顰めさせて言った。
「絶対にだよ」
「出来ないか」
「そうだっていうのね」
「テレビで観る動きと違うよ」
料理番組のそれと、というのだ。
「もう失敗して遅くて」
「それでもいいんだ」
「まずやってみることよ」
だが両親はこう言うのだった。
「何でもね」
「良太もそうだ」
「最後まで作ってもらうわ」
「今はな」
「出来るかな、出来ても」
食べられたものではないとだ、悟は思った。だが朝からずっとキッチンで立って頑張ってであった。
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