第二章
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難波の妻となる十歳年上の女性、奥山里奈を見て誰もが驚いた。
「えっ、嘘だろ」
「あれで三十五歳か!?」
「中学生じゃないのか」
「十五歳位だろ」
「ああ、何かな」
色白で黒髪を長く伸ばしはっきりとした顔立ちに形のいい顎を持つ彼女を見てだ、加藤も同僚達に続いた。
「そうとしか見えないな」
「小柄だしな」
「一四四位だな」
「滅茶苦茶小さいな」
「難波も一七〇以上あるから余計に目立つな」
「体型もそんな感じでな」
「童顔でな」
「十歳上どころか下だろ」
加藤は難波が二十五歳であることから言った。
「もうな」
「ああ、犯罪だな」
「もうそうとしか見えないな」
「絶対に十歳上には見えないぞ」
「奥さんがな」
「あいつの方がだろ」
彼等は口々に言った、だが式は程なく進み。
式が終わって二人はそのまま新婚旅行に行ったが加藤達は職場に復帰した難波に対して口々に言った。
「本当に奥さん年上か?」
「十歳もな」
「奥さんの方が年下だろ」
「絶対にそうだろ」
「いや、ちゃんと車の免許持ってるし」
難波は加藤達に笑って話した。
「それでワイン好きだよ」
「大人だってのか」
「そうなのか」
「あの人あれで」
「僕と同じ阪神ファンだけれど二〇〇五年のシリーズを詳しく言えるし」
三十三対四と言われ伝説になっているそのシリーズもというのだ。
「だからね」
「本当に三十五歳か」
「そうなんだな」
「あの人は」
「そうだよ、とても素敵な人だから」
難波はさらに言った。
「これからもね」
「夫婦仲良くか」
「暮らしていくんだな」
「二人でね」
「そうしていくよ」
加藤達に満面の笑顔で言った、そして一年後難波が二人の間に生まれた彼そっくりの男の赤ちゃんの写真を見せてくれるとだった、加藤達はまた言った。
「マジか」
「今度は子供出来たか」
「この外見で三十五歳で」
「今度は子供か」
「つくづく凄いな」
「信じられないな」
難波と一緒にいて赤ちゃんを抱いている彼女を見て言うのだった、そしてやはり彼より十歳年上とは思えないのだった。
十歳年上の奥さんは 完
2023・5・19
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