少女の気付き
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いるけど、ここで彼女が来てくれたのはありがたい。
「飛び込め!!」
全員でその空間に飛び込み出口を塞ぐ。俺たちが入ったそこは和室のような一室で、ヨボヨボの老婆と巫女のような服を着ているファリスさんがいた。
「なんじゃなんじゃこやつらは〜」
「皆さん!!」
「とにかくベッドを貸してくれ!!」
「あと薬や包帯も!!」
「あとは私たちが治療します!!」
「急いでください!!」
何がなんだかわからない老婆は放置してすぐに治癒の準備にかかる。横でガタガタ騒いでいる老婆をグレイさんが一喝して黙らせておくと、突然襖が力任せに開く音がする。
「たのもぉー!!」
そう言って入ってきたのはさっき振り切ったはずのセレーネの手下二人・・・って・・・え!?
「そんな・・・」
「なんでここに〜!?」
「つけられたの!?あんた」
「そんなはずは・・・」
なぜここにいるはずのない二人がいるのか訳がわからない。すると、それに答えるように大きな身体の女性が鼻を擦る。
「私は鼻がよくてね」
「滅竜魔導士なの?この人も」
「いいえ・・・それは違うみたいです」
彼女の鼻がいいのは生まれ持ってのものなのだろう。しかし、今はここを何とかするのが先決だ。
「どうします?グレイさん」
「ナツとエルザが重体なんだ、俺たちでやるしかねぇ」
「うん」
そう言って立ち上がったグレイさんとルーシィさん。すると、夜空に浮かぶ月が見たこともないほど大きく光輝いている。
「何事じゃ!?」
「月があんなに大きく!!」
「こんなこと・・・」
何が起きているのかと困惑している俺たちだったが、目の前にいる女性二人は笑みを浮かべていた。
「あらあら、どこかの誰かさんがセレーネ様を本気にさせてしまったみたいですわ」
「デカさこそ正義!!」
どうやらスザクと対峙しているセレーネの影響により月の大きさが変わっているらしい。月の神と評されるだけあって、その力が及んでいるのか?
「セレーネ様の宴も良き頃合い」
「ここらで一気呵成片付けてくれようぞ」
恐らくセレーネ優勢で進んでいるであろう二人の戦い。その流れをここでも生かそうとしている二人は臨戦態勢に入っている。
「リベンジマッチってわけね」
「妖精の尻尾に二度の敗北はねぇからよぉ」
俺とウェンディは二人の治療で動けないためここは彼らに任せるしかない。それにしてもかなり深いところまで太刀が入り込んでいたようで、なかなか治癒が完了しない。
「どう?ウェンディ」
「やっぱり時間がかかりそうだよ」
ウェンディでも時間がかかるとは、あのスザクって人相当高い剣の技術を持っているのかもしれない。
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