第二章
[8]前話
そしてこの話をだ、彼女の夫のオズマ穏やかな顔の髪の毛がかなり薄くなっている長身で太った灰色の目の老人の彼は妻と共にノースカロライナ州に旅行に行った時にだった。
立ち寄った街の喫茶店で知り合ったパトリック=コンリーこの街でバイク屋を営んでいる彼に話すとだった。
スキンヘッドにしたアフリカ系の中肉中背の彼はドットソン夫婦を自宅に招いた、すると。
「ガウ」
「ガウガウ」
「ガウッ」
「この通りなんだよ」
「えっ、熊が庭に」
「ああ、母熊はシモーヌっていってな」
家の中から自宅の庭で遊ぶ熊の親子を見せつつ老夫婦に話した。
「息子達はそれぞれマイロとルカっていうんだ」
「そうなんだね」
「この近くにも森があってな」
コンリーはさらに話した。
「やっぱり熊がいるけれど俺はどうも熊に好かれる様で」
「それでかい」
「熊が時々庭に来て遊んだりするんだ」
「そうなんだね」
「まあ基本大人しいしな」
見ればアメリカクロクマである、夫人がブラウニーを焼いていた時に来た種類だ。
「俺も程よい関係を築いてるつもりだしな」
「庭で遊んでもだね」
「お互い何もしないさ」
彼も熊達もというのだ。
「熊も人里近く来てもな」
「何もしないんだね」
「こっちが変なことしないとな」
「怖がることもないんだね」
「ああ、別にな」
こう老夫婦に話していると彼の家の玄関の方からもだった。
「ガウ」
「ガウガウ」
「ガウッ」
「今度はそっちか」
コンリーはそちらから聞こえた熊の声に笑顔になってだった。
老夫婦を今度はそちらに案内した、すると。
そこにも熊の親子がいた、コンリーはその熊達を見て言った。
「胸が白いな、ルビーと娘達のマリアとジュディットか」
「この熊達にも名前を付けてるんだね」
「ああ、この連中も大人しいからな」
「気にすることはないんだね」
「そうだよ、熊といってもな」
「怖がることもないんだね」
「落ち着いてみればいいさ、だからな」
それでというのだった。
「そっちに出て来た子もな」
「怖がることなくか」
「また出て来てもな」
家の方にというのだ。
「酷いことしないでくれよ」
「そうだな、あんたみたいにな」
「そうするわ」
夫だけでなく夫人も約束した、そして実際に老夫婦はそれから家の傍に熊が出ても騒がず落ち着いて対応を取った、そのことを聞いたベルフィオーレも熊に対して以前よりさらに冷静になったのだった。
熊の家族が来て 完
2023・5・17
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