百鬼夜行
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そちらへと向き直る。そこにはツリ目なのか睨んでいるのかわからないほどの目をしている巫女の姿をした女性が立っていた。
「私はセレーネ様新衛隊月下美神の一人、百鬼夜行のヨウコと申す」
「セレーネの手下」
その女性の目を見ただけで、さっきまでの相手とは比べ物にならないほどの強者であることが容易に想像できる。彼女は俺たちを見据え、不敵な笑みを浮かべていた。
「どおれ見せてやろう。"妖怪"の真髄を」
そう言ったヨウコは手で印を結んでいく。その早さは相当なもので、すぐに魔法の準備が整ったようだ。
「百鬼夜行・一反木綿」
彼女の真上に現れたのは俺たちが想像したような一反木綿ではなく、布をモンスターのように巻き上がっているもの。それは彼女の指示を受けてエルザさんへと襲いかかるが、エルザさんはそれに反応してあっさりと切りつけた。
フワッ
「斬れない!?」
しかし、その一撃を受けたはずのモンスターはなぜかダメージを受けていない。それどころか自らの身体を彼女の剣へと巻き付き動きを封じる。
「「エルザさん!!」」
「換装!!」
自らの身体へと巻き付いてくるそれを避けるために彼女は換装を行い横へと転がりながら回避する。
「百鬼夜行・火車」
俺たちがエルザさんに気を取られている間にヨウコは次の技を繰り出していた。今度は目から炎を溢れさせている貨車のようなモンスター。それは一瞬視線を切っていた俺たちへと襲い掛かってきた。
「うわぁっ!!」
「くっ・・・」
回避しようと横へと飛ぼうとした俺たちだったがわすがに間に合わず巻き込まれてしまう。
「何なの!?こいつ・・・」
「次から次に何かを召喚してるの〜!?」
手早く印を結ぶ彼女に反撃することができない。近付こうにも次から次にモンスターを召喚されてしまい、攻撃に移れない。反撃の活路が見出だせないまま、ヨウコは次のモンスターを・・・それも今までとは比べ物にならないサイズのものを呼び出していた。
「煙煙羅!!」
「煙のモンスター!!」
「これは"妖怪"という」
煙の妖怪は拳のように腕の部分を握り締めてこちらへと振り下ろしてくる。だが、俺たちならそれを回避することは容易いはず。そう思っていたのだが・・・
「ぐあああ!!」
「きゃああああ!!」
「うわあああ!!」
避けたはずだったが相手は煙。その腕が地面に突き刺さったのと同時に周囲にそれの煙が舞い散ってくる。
「な・・・何?これ・・・」
「この煙・・・息が・・・」
「できない・・・」
特殊な煙を使っているのか、わずかな量を吸い込んだだけなのに息が詰まって呼吸がうまく行えない。身体からみるみる酸素が抜けていった俺たちは、そのまま意識を失ってしまった
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