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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
妹のため、弟が兄に反撃する話
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自分の身体じゃないみたいな…。

「自分の身体じゃねぇ、そう思ったか?」

そう言って倒れた僕を覗き込んで来たのは…僕?
醜い笑顔を浮かべ、こちらに手鏡を見せてくるのは紛うことなき僕だ。
そして手鏡に映っているのは…あいつ?

「…!…!!」

横ではゴッホちゃんが何も出来ずわなわなしている。
ここで、僕は理解した。

僕の身体は、『葛城 恋』になっている。
そして直ぐに僕は、何故こいつが自分と僕の外見だけを入れ替えたか、その意味を知ることになる。

「マイ!!」

聞き慣れた声。
声のした方に目を向ければ、そこにいたのはお栄ちゃんにアビー、ユゥユゥの3人だ。

「あ…ぁ…ぁぁ…っ!!」

声を出そうにも、出ない。
余計なことを話さないよう何か細工をされたらしい。
そんな僕を見てにんまり笑い、僕の姿をした奴は

「お栄ちゃん!来てくれたんだね!!」

僕の真似をする。

「あぁ、嫌な予感がしたんだが…上手くやれてたみたいじゃないか。」
「うん。何とかなったよ。」

そうしてお栄ちゃんは奴の姿をした僕を冷たい目で見下ろし、その次にゴッホちゃんを見る。

「ホー、アンタがマイの言ってたごっほ≠ゥい?」
「そうだよ。あいつは兄さんと手を組んで、僕を殺そうとしてきたんだ!!」

僕とゴッホちゃんが何も言えないのをいい事に、あいつは好き勝手に話し出し嘘を吹き込んでいく。

「まぁいい。さて…まずはマイの夢に土足で踏み込んだんだ。」

お栄ちゃんは僕の方に向き直る。
後ろにはアビーとユゥユゥが汚いものでも見るような目で見ている。

「この人が…マイマイのお兄さん…?」
「えぇ、そうよ。兄弟ってここまで似ないこともあるの。見た目も中身もまるで正反対よ。」

まさかそんな目で見られるとは思ってなかった。
みんな騙されてる。みんながあいつだと思ってるのは、僕なんだ。
そう言いたいが、言えない。
ゴッホちゃんもそれを伝えようともがいている。
両手を使って閉じられた口をこじ開けようとするも、令呪がそれを許さない。

それを見て僕の姿に化けた奴は、

「トドメを刺すんだ。お栄ちゃん。兄さんを完膚なきまでにやっつけて!!」
「……あぁ。そうだナ。ここで終わらせちまうか。」

手には大筆。
やられる。
このままじゃ僕は…お栄ちゃんに殺される。
あいつの事だ。殺した後に正体を明かし、油断したところでお栄ちゃん、アビー、ユゥユゥを捕まえるつもりだろう。

それだけはダメだ。
あいつのものになるなんて、嫌だ。

「…!!……!!」
「おいおい悪あがきかい?相変わらず往生際が悪いじゃないか。」

身振り手振りでなんとか伝えようとするも、全く伝わらない。
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