第3部
ルザミ
ルカの成長
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ナギの言うとおり、これには私も素直に感嘆の声を上げるしかない。
「すごいね、ルカ! あのユウリに言い値で売りつけるなんて!」
そう素直に感想を述べただけだったのに、なぜかユウリに髪の毛を引っ張られた。
「何で引っ張るの!?」
「言い方が気に入らん」
「アネキ……、アネキがそんなだからユウリさんは苦労してんだぞ」
「何でルカまでユウリの肩を持つの!?」
この二人に責められるなんて、どうにも腑に落ちない。これ以上余計なことを言わないよう、私は口を噤むことにした。
「忙しいところ邪魔して悪かったな。今日はお前の顔を見に来ただけだ。また今度来る」
「えっ、あ、すいません! 今度いらっしゃるときは、皆さんがゆっくり滞在できるように、いろいろ用意しますんで!」
申し訳なさそうにルカが言うと、ユウリはルカの頭にポンと手を置いた。
「別にそんな気を使わなくていい。時々お前の店に立ち寄るから、俺たちが必要だと思うような商品を揃えておいてくれ」
「は……はい!!」
目を輝かせながら、ルカは勢い良く頷いた。それを見たシーラは、うんうんと大きく頷くと、
「ユウリちゃんてば、るーくんの本当のお兄さんみたいだね♪」
なんて恐ろしいことを言い出した。
「やめてよシーラ! その理屈だと、私にとってもきょうだいになるってことじゃない」
「え、ミオちんは嫌なの?」
例えばもしユウリが私の兄だったら、毎日嫌味を言ってくるに違いない。そんなことになったら、きっと鬱々とした日々を過ごすだろう。
「逆にシーラが私の立場だったら、嬉しい?」
「うーん、多分嫌かな☆」
人のこと言えないじゃない。ていうかそんなに堂々と言う台詞ではないような気が……。
そんな私とシーラのやり取りを知ってか知らずか、ユウリはふと思いついたようにルカに尋ねた。
「そういえば、そいつらは島から来たって言ってたな。その場所がどこにあるか、聞いてるか?」
「ええ、教えてもらったのは口頭ですが、大体の位置なら把握できてます」
それを聞いたユウリは、鞄から世界地図を取り出し、ルカにルザミの島の場所を教えてもらった。なるほど、地図で見ると南東の端にあるが、南下すれば割と早くここにたどり着ける。もしかしたらジパングと関係があるかもしれない。ユウリはそう考えたのだろう。
ふと隣にいるナギを見ると、なぜか珍しく神妙な顔をしていた。
「どうしたの、ナギ?」
「いや、『ルザミ』って名前、どっかで聞いたことがあるような気がするんだよな……」
こういう時のナギの勘は、妙に当たることが多い。私は思い当たることを言ってみる。
「もしかして、予知夢とかで見たんじゃない?」
「うーん……。どうなんだろう……」
どうやら予知夢かどうかも曖昧なようだ。でも、ナギの勘ほどではないけ
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