第3部
ルザミ
ルカの成長
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るほど自分でもしっかりしてるとは思えず、言葉を飲み込む私。
「そんなことよりルカ、この店は何なんだ? ずいぶん立派な建物だが、誰が建てたんだ?」
店にある看板を見上げながら、ユウリがルカに尋ねる。
「ええ、実は話すと長くなるんですが……。本当に偶然としか言えないんですが、ユウリさんたちと別れてからしばらくして、近くの海で船が座礁したんです。おれとグレッグさんでなんとかその船を引き揚げたんですが、その船の中にいる人の中に、怪我をしてる人がいたんです」
その後、ルカたちは怪我人を薬草などで治療し、他の船員はその間、座礁して破損した船の修理をした。彼らは『ルザミ』という島に住んでる人たちで、島から少し離れた場所で船で漁をしていたところ、嵐に巻き込まれてここまで来たという。
「それは災難だったな」
「元々潮目の関係で、ルザミからの漂着物がたまにここに流れ着くことはあったそうなんですよ。まさか船が漂着するとは思いませんでしたけど」
「わしの家、ルザミから流れたもの。それルザミの人から聞いて納得した」
そっか。じゃあグレッグさんのあの独特な家の作りは、ルザミから流れてきたもので作られたってことなんだ。
「てことは、そのルザミの人たちがこのお店を造ったってこと?」
「そうです。自分たちを助けてくれたお礼って言ってましたけど、お礼としては充分過ぎるくらいですよ」
シーラの問いに、申し訳無さそうに答えるルカ。ルカたちにとっては何でもないことでも、船長たちにとっては命の危険があったかもしれないのだ。船で旅をする私たちにも、そのくらいの恩返しをしたい気持ちは嫌でもわかる。
「店欲しい言った、すぐ造ってくれた。港欲しい言った、すぐ造ってくれた。でも、いつの間にかたくさん時間経ってた。船も欲しい、でも結局、船の作り方だけ教わった」
「そういえば、店はともかくなぜ港を作ろうとしたんだ?他に最優先べきことはあると思うが」
ユウリの言うとおり、町を作るには、最低限人が住めるような家や施設を作るのが先ではないのか。一応辺りを見回すと、グレッグさんが以前から開拓している畑や周辺に生えてる木の実や果物、ヤギも数頭放牧されており、食料には困ることもない。けれど人数が増えれば、その分たくさんの食料を確保しなければならない。この規模の畑では、何人もの移住者を賄えるとは思えない。ならまずは、畑を増やして人が住める住居を増やしたほうがいいと思うのだが……。
「実はユウリさんたちと別れてから、グレッグさんと二人でいろいろと検討したんですよ。ここに人を集めるにはどうすべきか。それには人が来たがるような環境を作ることから始めなくてはと思ったんです」
「それでどうして港になるんだ? 確かに別の大陸から移住するには船が必要だが、それよりも人が住める環境を整えたほうがいいだろ
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