第3部
ルザミ
ルカの成長
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ったはずだけれど、一体誰が建てたのだろう?
ルカには建築の知識や技術はないはずだし、グレッグさんが一人で建てたにしては期間が早すぎる。もしかしてダーマで声をかけた元戦士の商人かとも思ったが、こんな辺境の地に来るには早すぎる気がする。
なんてあれこれ考えていると、遠くからカーンカーンと、木を切っているような音が聞こえた。気になって近づいてみると、そこにはグレッグさんが斧で木を切り倒している最中だった。私たちの存在に気づいたのか、グレッグさんはこちらを振り向いた。
「久々! でも今ちょっと危険!!離れる!!」
そう言うとグレッグさんは、メリメリと音を立てて倒れていく木から素早く離れた。幸い私たちがいる場所は木が倒れる場所とは反対方向なので、その場で木が倒れるのをしばらく見届ける。
ドシーンと派手な音が辺り一面に響き渡り、土煙が立ち込める中、グレッグさんはいつの間にか私たちのそばまでやってきていた。
「お前たち、よく来た。そこの二人、初めて見る。お前たちの仲間か?」
「お久しぶりです、グレッグさん。そうです。二人は私たちの仲間で、ナギとシーラと言います」
私はグレッグさんに二人を紹介した。ナギたちは、初めて見るスー族の人に興味津々な様子で自己紹介を交わした。
「おい、ジジイ。この木を切ってどうするつもりなんだ?」
ユウリが尋ねると、グレッグさんは鼻を鳴らしながら言った。
「この木、船造るのに使う。ルカが、港あるなら、船も作ったほうがいい、教えてくれた」
「船?」
確かに町を作るには、人が必要だとルカは言っていた。沢山の人を集めるには、この大陸以外の人が行き来できるようにしなければならない。だから船が必要だということか。
「じゃあ、あそこに建っている家もあんたが造ったのか?」
納得できないような顔で、ユウリがさらに訊く。それは私も同じだった。なぜならスー族の里にある家はあんな立派な石造りの家などではないからだ。スー族であるグレッグさんがあの家を造れることは、どう考えても不自然でしかなかった。
「あの家、前にここに来た人たち、建てた。それ見て、教えてもらって、わしも何か造ろうと考えた」
「前に来た人たち?」
私たち以外に、誰か他の人たちが来たのだろうか?
「前に来た人たち、今はもういない。だけど、とても大事なもの、残して行った。家の造り方、港の作り方、船の作り方、色々教わった」
『??』
ダメだ、グレッグさんの話だけじゃわからない。
「あの、ルカは今どうしてますか?」
「ルカなら、あの家、いる。町のこと、たくさん考えてる」
グレッグさんが指差したのは、先程の石造りの家だった。
ルカにも話を聞いてみようと判断した私たちは、すぐに例の家へと向かうことにした。グレッグさんも作業を中断し、私たちのあとをつい
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