暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第3部
ルザミ
ルカの成長
[3/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ーもう、やめやめ! 曖昧な情報だけで考えても机上の空論! 考えても無駄! そんなことよりご飯の続きだよ!!」
 そう言うと、シーラは追加で魚の蒸し焼きを注文した。その態度にナギも毒気を抜かれたのか、大きく息を吐いた。
「ま、シーラの言うとおりだな。変に考えても仕方ねーし、オレの性に合わねえ。悪かったな、ミオ。余計な心配かけさせちまって」
「ううん、こっちこそ教えてくれてありがとう。でももしそれが予知夢だとしても、気にするほどのことじゃないと思うよ」
 私は笑ってそう言うと、小骨が刺さったような感覚に陥りながらも、その違和感をそっと心の奥にしまいこむことにした。
「おい、そろそろ到着するから準備しろ」
「うわっ!?」
 急に背後から声がしたと思ったら、さっきまで甲板にいたユウリだった。私の異常な驚き方が気に入らないのか、眉間の皺をこれでもかというほど寄せている。
「びっ、びっくりしたあ」
「人を幽霊か何かみたいに言うな」
「いや、幽霊の方がまだマシだろ」
 ドゴッ!!
 ナギの顔面に、ユウリの拳がめり込んだ。
「さすがのユウリちゃんも、船の中では呪文は使わないんだね☆」
 いやいやシーラ、明るく言ってる場合じゃないから。
「てめえ、何てことしやがる!!」
 顔を真っ赤にさせながら、ナギはユウリに食って掛かる。だがユウリはナギの攻撃をさっとかわし、私たちへの伝言を伝えるためにやって来たのか、用事を済ますとすぐに食堂を出ていってしまった。
「くそっ、次は絶対にオレが勝つ!」
 ダンッ! とテーブルに拳を叩きつけながら、怒りを露にするナギ。ほどなく食事が運ばれると、彼は貪るように食べ始めた。
「もうすぐるーくんのいる場所に着くんだよね♪ 楽しみだなぁ」
 ナギたちのやりとりなどまるでなかったかのように、ニコニコしながらシーラが期待に満ちた目で天井を仰ぎ見る。かくいう私も、数ヵ月振りにルカに会うという嬉しさと期待でいっぱいだった。
 スー族の住む町の再興を目指すグレッグさんとともに東の大陸に残ったルカは、一体どうしているんだろう。そもそも町づくりはどのくらいまで進んでいるのだろうか?
 様々な思いが交錯するなか、船は着実に東の大陸へと到着しつつあったのだった。



「……あれは、港か?」
 一度目に停泊した場所とほぼ同じ場所に、桟橋が見える。近づいてみると意外と規模が大きく、大きな船でも横付けできるように設置されていた。私たちはここに錨を下ろし、船を降りる。
 桟橋を渡ると、その先には草木が一部切り払われ、道のように続いている。その道に沿って歩いて行くと、やがて行き止まりになった。
 すると、少し離れた場所に、この前にはなかった石造りの家がポツンと一つ建っていた。確か前はスー族の里にあったようなテントしかなか
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ