アインクラッド編
黒猫との再開
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
アスカ率いる〈血盟騎士団〉は今日もマッピングに精を出していた。
血盟騎士団が結成されて約半年、最前線は第40層まで進んでいる。
第25層のボスが猛威を振るって〈アインクラッド解放隊〉を壊滅させて以来、今までの15層ではボス戦では1人の死者も出してない。
最初は15人程度だった団員数も着実に増え、今では30人を超えようとしている。
攻略組最強ギルドの副団長としてレイドパーティーのリーダーを務めてきたアスカには最近、本人としては不本意だが、〈閃光〉なる2つ名が頂戴されている。
まあ、キリトにも〈黒の剣士〉なる2つ名が付いているので、諦めて容認してしまっている状況だ。
デスゲームが始まってから早1年,今日まで私情を極力挟まずに、この世界からの脱出への決意を胸に秘めて戦ってきたアスカ。
あらゆることのなかで最優先するべきはハイペースの攻略。
そんなアスカだが、今日は活気がない。
迷宮区内で振るう剣にもいつもの冴えがない。
いや、訂正しよう。攻略組全員がこの第40層に来てから元気がない。
「あー、ようやくレベル上がったーっ!!」
アスカと共にパーティーを組んでいた〈血盟騎士団〉の団員が疲れ切った表情で叫ぶ。
いつもなら他の団員達と軽くハイタッチをするくらいなのだが、今日は変なテンションで雄叫びと共に拳を突き上げている。
つられて周りの団員達も変な動きをしている。
自分のギルメンの情けない姿に呆れる。
が、無理もないだろう。
この階層のモンスターが恐ろしく堅いくせに全然経験値をくれない、レベリングをさせる気のない奴ばかりなのだから。
亀やカニ、ヤドカリといった、堅い甲羅や殻に覆われたモンスターばかりで、攻撃をほとんどしてこない代わりにひたすら防御姿勢で微動だにしない。
甲羅や殻の上から攻撃しても大してダメージが与えられないだけでなく、こちらの武器の耐久値を恐ろしい量減らす。
時たま覗かせる頭や尻尾を逃さずに的確に攻撃する必要があるが、攻撃の正確さと鋭さなら攻略組でも並ぶ者がいないと自負しているアスカですら成功率は5割程度。
ハンマーや斧といった重量武器を使っているプレイヤーは笑えないような確率だ。
それにどの武器を使おうが身を隠しているので、パーティーを組んで戦闘を行うことの最大のメリットであるはずのスイッチが意味を成さない。
1体倒すのに長時間かかるし、その割にもらえる経験値が少なく、レベリングの効率が異常に悪い。
不真面目な攻略組は〈迷宮区〉のマップ探索を投げている者もいるほどだ。
攻略組最強ギルドと呼ばれる〈血盟騎士団〉の団員達も精神面では別に他のプレイヤーと大差ない。
アスカは全員が疲れ切った表情をしているのを見て、休憩を挟むべきだと判
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ