誕生日
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で、決してケーキの量が減ることはない。
ハルトはほほ笑みながら、机に置かれているティッシュボックスから、数枚のティッシュを取り出し、使い魔たちの傍に置く。
「終わったら拭いておいてね」
ハルトはそう言いながら、またケーキを口に運ぶ。
その時、全くケーキを口にしていない使い魔、ガルーダはハルトの肩に乗った。
「ガルーダ? どうしたの?」
ガルーダは何かを訴えるように、ハルトの目を見返している。やがて数秒の沈黙の後、二階を見上げた。
ガルーダが何を示しているのか。それを察したハルトは、ため息を付いた。
「できるわけないよ。……そんなこと」
すると、ガルーダの声が少しだけ窄められる。
何を言いたいか察したハルトは、続けた。
「分かるでしょ……怖いんだよ」
するとその言葉に、ユニコーンが鳴いた。ケーキから口を離し、ハルトを見上げている。
「……いいんだよ。お前たちだけが知ってくれていれば」
お前たち。
だが、そのうちゴーレムは、何も分からないというように首を振りながらハルトを見上げていた。
「そっか……ゴーレムは知らないよね」
ハルトはガルーダ、ユニコーンと目を合わせながら、ほほ笑んだ。
そして。
「他の皆には秘密……」
ゴン ゴン
それ以上の言葉は、ハルトの口が閉ざしてしまった。
見れば、朝方の空をバックに、唯一見回りの仕事を買ってくれたクラーケンが窓ガラスを叩いていた。
「クラーケン! 祝いに来てくれ……」
顔を輝かせながら、ハルトは窓を開けた。
ハルトの元に戻って来たクラーケンは、慌てたようにハルトへ何かを訴えている。
「お祝いに戻って来た……わけじゃないよね」
ハルトの判断を肯定するように、クラーケンは上下に揺れる。
表情を強張らせたハルトは、背後の使い魔たちへ振り向いた。
「ガルーダ。お前も一緒に来て。ユニコーン、洗い物お願い。ゴーレムはユニコーンを手伝ってあげて」
ユニコーンとガルーダは了解とばかりにそれぞれ声を上げる。
ユニコーンとゴーレムがそれぞれ皿を流し台に持っていったことをしり目に、ハルトは魔法を発動。
『コネクト プリーズ』
発生した魔法陣より取り出したマシンウィンガーに跨り、ハルトは朝方の見滝原を急ぐ。
そうしてクラーケンが案内したのは、見滝原のとある路地。
プラモンスターに誘導されたりでもしない限り、ハルトが訪れることはないであろうその場所で、甲高い音がハルトの耳を貫いた。
「銃声!」
音の発生源は、ハルトの聴覚が訴えている。マシンウィンガーのハンドルを切り、狭い路地を駆け抜けていく。
ほどなく銃声があったらしき場所
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