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ドリトル先生と山椒魚
第九幕その十一

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「江戸時代じゃないからね」
「作品の舞台がね」
「室町時代になってて」
「それで人も違うし」
「それならね」
「幕府は何も言わなかったしね」
 自分達を直接言わないと、というのです。
「そうした寛容さを持っていたから」
「幾ら怪しくても」
「どう見てもその人でも」
「それで噂になっていても」
「謀反を考えていないなら」
「よかったんだ、それにその人が秀頼さんの息子さんでも」
 例えそうでもというのです。
「幕府の世は定まったね」
「そうだったね」
「大坂の陣で勝ったし」
「その前に幕府を開いてからずっと地盤固めして」
「天下泰平を定めんとしていたからね」
「それで幕府の世は定まっていたから」
 そうした政治もしてきた結果というのです。
「だからね」
「それでだね」
「もう豊臣家の人が生き残っていても」
「徳川家の統治は覆せない」
「そうなっていたから」
「あえて何もしなかったんだ」
 木下家の分家の人達にというのです。
「どうもね」
「それでその人は天寿を全うしたんだね」
「木下家の分家の人として」
「石高は少ないけれどお大名として」
「生きていったんだね」
「そうみたいだね、そうした意味でも江戸幕府はいい政権だったよ」 
 先生は微笑んでお話しました。
「産業も文化も発展する世の中にして」
「しかも長い間平和で」
「治安もよくて」
「しかも寛容で」
「血も好まないなら」
「真の王道を目指した政権と言えるけれど」
 江戸幕府はというのです。
「まさにね」
「それを実現した」
「そうだね」
「それが江戸幕府だね」
「素晴らしい政権よね」
「そうだよ、日本では最近まで何かと言われたけれど」
 批判的なことをです。
「調べれば調べる程だよ」
「そのよさがわかるのね」
「豊かで平和でいい時代だった」
「そうだったって」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「僕は江戸幕府が大好きだよ」
「そうだよね」
「先生幕府をいつも評価してるね」
「それもかなり高く」
「そうだね」
「そうせずにいられないよ」
 まさにというのです。
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