第93話:軌道拘置所
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とつ頼みがあるんだけど・・・聞いてくれるか?」
「そらコトと次第によるやろ。で、頼みって何?」
そう言ってはやては俺の顔をじっと見据えた。
「ゲイズ中将と会わせて欲しい」
単刀直入に俺が言うと、はやては眉間にしわを寄せた。
「それは難しいわ。ゲオルグくんも判ってるとは思うけど」
「判ってるつもりだよ。でも会っておきたい」
はやての言葉に頷きつつ、俺ははやてに向かって宣言する。
そんな俺にはやてはゆるゆると首を横に振る。
「判らんなあ。何でそんなにあの人と会いたいん?何をするん?」
「何をって・・・話を聞きたいだけだよ」
「調書やったら見れるはずやけど」
「読んでるよ。でも、そういうことじゃないんだ」
「何を話すつもりなん?」
「あの人が何を思い、何故あんな行動をとったのかを聞きたい」
「それは調書にも書いてある通りやと思うけど」
「それならそれでもいいんだよ。俺は俺の過去に対するケジメをつけるために
あいつから直接話を聞きたいんだ」
「それやったら後でもええんちゃう?裁判が終わったあとやったら
もっと楽に会えると思うで。それこそ私の仲介なんぞなくても」
「だとは思う。でも、俺は今あの人に会っておかないといけないと
感じてるんだ。頼む、はやて」
俺はそう言って深く頭を垂れた。
しばしの静寂の後、はやてのため息が聞こえてきた。
「・・・頭上げて。私から捜査部に頼んでみるわ」
「いいのか?」
「頼むだけやけどね。許可が下りることは保障できひんよ」
「判ってる。ありがとな、はやて」
俺がそう言うと、はやては不機嫌な表情で追い払うように手を振った。
「早く出て行って。仕事の邪魔や」
その言葉に追われるように俺は艦長室を後にしたのだった。
回想から意識を引き上げ目を開けると、そこには先ほどまでとは
うって変わって重苦しい雰囲気の光景が広がっていた。
ポッドから出ると隣のポッドから同じく出てきた1尉と目が合った。
「さあ、着きましたよ。ここが第19無人世界、軌道拘置所です
部屋の窓からは漆黒の中にぽつぽつと光の点が見えた。
「時間も限られていますし、早速行きましょうか」
「はい、お願いします」
俺は1尉について部屋を出る。
通路は細く長く続いていて、そしてどことなく暗い印象を受ける。
本局やアースラの明るい色を基調とした内装とはちがう暗色系の内装からは
圧迫感に近いものさえ感じた。
1尉の後について歩いて行くと、通路の先にいかにも厳重そうな扉が目に入る。
1尉は扉の前まで来ると俺の方を振り返った。
「ここから先が重犯罪で起訴されている被告を収容
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