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第三十六話 戻ってきた現実、されど・・・
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外見と同様、内装も高級感が漂いセキュリティもしっかりしているようであった。メモと共に渡されたカードキーを使いセキュリティを解除するとエレベーターを使い、十五階にある焔の部屋まで歩を進める。部屋の前に来るとカードキーがあるにもかかわらず、なぜかインターホンを鳴らした。

ピーン、ポーン

「・・・は〜い」

インターホーンを鳴らし、少しすると返事と共に玄関の扉が開かれる。現れたのは当然というべきか焔だった。

「って、桜火?どうしたの、インターホンなんかならしちゃって?」

「いや、なんとなくならさないといけないような気がして・・・」

「そう?まぁ、入って入って」

若干調子が狂いながらも桜火は焔の言うとおり部屋に上がっていく。

「姉さん一人でこれ借りてるのか?」

「いえ、翡翠と一緒よ」

翡翠という名を聞いた途端、桜火の顔が思いっきり引きつった。

「あ〜、それで、その・・・翡翠は、今、どこに?」

おずおずと尋ねる桜火に焔は苦笑いをし、肩を竦めながら答えた。

「恋人たちのところを転々としてるって」

「・・・あの、遊び人が」

翡翠らしい答えを聞いた桜火は大きく溜息を吐いた。それから、焔は桜火の部屋へと案内していく。

「ここは空き部屋だから自由に使っていいわよ。それから、今晩私の友達が遊びに来るから」

「了解・・・姉さんはこれからどうすんの?」

「とりあえず、買い出しかな。あなたはどうする?」

「一緒に行く。生活用品買わねぇと」

その後、桜火と焔は近くの大型ショッピングセンターへと出かけて行った。



「ああ、そうだ。姉さん、パソコン借りてもいい?」

「いいけど・・・何するの?」

ショッピングセンターから帰ってきた後、桜火は部屋でくつろいでいた姉に頼みごとをしていた。焔は特に気にした様子もなくOKを出すが、何に使うか聞いたところ予想外の答えが返ってきた。

「ちょっとばかしハッキングを、ね」

「・・・・・・犯罪よ?」

「ばれたらな」

暗にばれなければ問題ないと言い切る桜火はどこかおかしいが、焔は特に気にした様子もなく―――

「なら、ばれないようにね」

―――などと言うあたり桜火だけでなく焔もおかしかった。

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