亜留土乃湯
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返事に何か隠し事があるのかと彼が目を通しているものを覗き込む。そこには色々なものが写っているが、どうやら女性向けのもののように見える。
「あれ?グレイさんもしかして・・・」
「あん?」
わざとらしく口に手を当てて半笑いをして見せると彼は不機嫌そうな表情でこちらを見る。それに臆することなく俺は続けた。
「ジュビアさんへのプレゼントですか?」
彼特有の照れ隠しが見れるかと思って問いかけた。意外とうぶなグレイさんへの普段おもちゃにされることが多い俺からのささやかな嫌がらせのつもりだったのだが・・・
「あぁ、そうだな」
ほのかに頬を赤くして答える彼に押し黙る。それは照れているというよりも想い人のことを考えてそうなっている、恋心を抱いている人の表情にしか見えなかったからだ。
「え?熱でもあるんですか?」
「おま・・・失礼だな」
俺の言葉に目を細めているグレイさんだけど、それも仕方がないことだと思う。だって彼とジュビアさんの恋愛は彼女からの一方通行と思われるようなほど、グレイさんはいかにも気にしてませんと装っていたのに、突然こんな発言が・・・しかも照れたような表情でされたらこんな言葉も出てきてしまう。
「俺も色々思うところがあるんだよ」
そう言ったグレイさんだったけど、その兆候は確かにあったかもしれない。テッカの街でジュビナさんにあった直後から少しずつ彼女を考えている時間が増えていたような気もするし、何かあったのかもしれない。
「グレイ様〜」
「ん?」
すると、小さなものではあったがジュビアさんの声が聞こえたような気がする。しかし、周囲を見回しても彼女の姿がない。
「どうした?シリル」
「いや、ジュビアさんの声がしたような・・・」
「気のせいじゃないか?」
どうやらグレイさんは気付いていなかったらしく俺の反応が気になっているらしい。彼女の話をしていたから幻聴でも聞こえたのだろうか?姿も見えないしそう考えた方が自然かな?
「なんだ?ああああああ!?」
「きゃあああああ!!」
気を取り直して雑誌に目線を戻そうとした途端響き渡るグレイさんの悲鳴。それに重なってやっぱりジュビアさんのそれも聞こえたような気がしたのでそちらを見る。
「どうした?グレイ」
「何かありましたか?」
その声の大きさに近くにいたエルフマンさんも歩み寄ってくるが、するとグレイさんはまたしても絶叫したかと思うと、肩についていた何かを口へと吸い込んだ。
「ちょ!?・・・え?」
「お前今でけー虫みてーの食わなかったか?」
何が起きたのかわからず呆然としている俺と顔面蒼白になっているエルフマンさんだが、当の本人は汗を浮かべながら無言で腕組みをしており素知らぬ顔をしている。エルフマン
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