七十一 正体
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もなく、ひとりの忍びとしての顔だった。
「手間取っているようだな」
暗闇の中。
相手の息遣いさえ聞こえそうな静けさだが、外からの絶え間ない密やかな雨音よりも、その責めるような言葉はやけに大きく響いた。
いつも潮騒のような雨音が里を包んでいる。
雨隠れの里。
その高い塔の上で、ペインのリーダーは疲れたように答えた。
「急な訪問者があってな」
「ペインは無敵…どんなことがあっても九尾は確実に手に入れる」
ペインを庇うように小南が言葉を続けたが、仮面の男は非難を止めなかった。
「しかし流石の無敵のペインも、三忍の自来也と大蛇丸には手こずるか」
「…………」
無言の肯定を返すペインに、仮面の男は続け様に忠告する。
「逃げられたのは痛手だったな。木ノ葉はすぐにでも何かしらの手を打ってくるぞ」
「その前に動く」
今度はすぐさま返事を返す。
断言するペインの背後で控えていたカブトが「しかし…」と遠慮がちに進言した。
「今のままでは人数が足りませんよ」
ペイン六道は六人揃ってペインだ。
けれど大蛇丸と自来也との激戦によってほとんどのペインを潰された。
故に、大蛇丸と自来也によって減らされたペインの補充をしなければいけない。
その点を指摘するカブトに、小南は「そうね」と同意した。
「死体を運び込まないと」
「おまえが役に立たない人間ならすぐにでもペインの仲間入りにさせるのだがな」
仮面の男がカブトを見ながら揶揄する。
冗談にしては面白くない発言に、カブトは冷や汗を掻きながら「冗談はやめてくださいよ」と穏便に微笑んだ。
「そうよ。彼は長門の身体を診てくれているの。いてくれなきゃ困るわ」
小南がカブトを庇ってくれる。長門の治療を任せられているカブトはそっと息をついた。
もしも自分が医療忍者じゃなければ、或いは長門の命の恩人でなければ、殺されて遺体にされていたのがよくわかった。
(もしや大蛇丸様はそれがわかっていて…?)
サスケには“写輪眼”がある。故に殺されることはない。
仮面の男にとっても『暁』にとっても利用価値がある。
現在長門の身体を診ているカブトも今のところ殺されることはないだろう。
しかしアマルは違う。
医療忍者はふたりもいらない。
アマルを殺して遺体にし、操り人形としてペインの仲間入りさせることなど目に見えている。
故に大蛇丸はサスケではなく、アマルを連れ去ったのだ。
医療忍者としてまだまだ未熟者だが、医療忍術の腕は相当のものだ。
ペイン六道との戦闘で負った大蛇丸と自来也の傷を
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