第三章
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「今は身分があり禄も貰え暮らしに困っておらず名声もあるが」
「いや、同じです」
これが金時の返事でした。
「全く以て同じだけです」
「幸せか」
「はい、山にいた時もです」
「今もか」
「同じだけです」
全くというのです。
「幸せです」
「それは相撲が取れるからか」
「はい」
その通りだというのです。
「ですから」
「そうであるか」
「それがし相撲が取れるならです」
「それで幸せか」
「他に何もいりませぬ」
「そこまで相撲が好きか」
「ですので」
それ故にというのです。
「それがし昔も今もです」
「同じだけ幸せか」
「はい、ですからこれからも」
「相撲を取っていくか」
「そうしていきます」
こう言ってでした。
金時は自身の屋敷に来た子供達にこう言われました。
「金時様相撲取ろう」
「一緒にしよう」
「うむ、皆でしようぞ」
金時は子供達に笑顔で応えました。
「そして楽しもうぞ。では」
「うむ、存分に楽しむのだ」
頼光さんもその金時に笑顔で応えます、そしてです。
山から一緒に来たお婆さんに満面の笑顔でお話しました。
「見事なご子息ですな」
「そう言って頂けますか」
「はい、それがしもです」
主君である頼光さんもというのです。
「あの様になりたいものです」
「相撲を取ってさえいれば幸せと言える様な」
「何かが好きで」
そうしてというのだ。
「それがよいもので他に何もいらぬと言う様な」
「そうした人にですか」
「なりたいものです」
「そうなのですね」
「いや、全くです」
またお婆さんに言うのでした。
「あの様になりたいものです」
「そう言われることこそがです」
お婆さんは自分にお話してくれた頼光さんに笑顔で応えました。
「私の幸せです」
「それがご母堂のですな」
「最高の幸せです」
子供達そして生きもの達と楽しく相撲を取る金時を見て言うのでした、頼光さんはそんなお婆さんも見てまた笑顔になりました。
新説金太郎 完
2022・10・15
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