第3部
ルザミ
新たな船出
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「はじめまして、微力ながらユウリさんたちの旅のお力添えをさせていただいております、船長のヒックスと申します」
「よろしくー!! あたしはユウリちゃんの仲間のシーラだよ!!」
「オレは盗賊のナギだ。よろしくな」
私たちはアッサラームからポルトガへと移動したあと各々の用事を済ませ、ヒックスさんたちのいるポルトガの船着き場へと足を運んだ。
船着き場には、ついこの間まで私たちがお世話になった船が停泊してあり、ヒックスさんの仲間の船員さんが数人で作業をしていた。
船員さんに声をかけると、ちょうど船長のヒックスさんもここにきているらしく、すぐに彼を呼びに行ってくれた。そして、船員の一人がヒックスさんを連れてきた途端、冒頭の自己紹介が始まったのだ。
「休みの日でも仕事場にいるとは、随分仕事熱心なんだな」
ユウリが感心したようにそう言うと、ヒックスさんは苦笑した。
「いやあ、ユウリさんたちが行ってから数日は家にいたんですがね、どうにも落ち着かなくて……。やはり私らは船の上で動いている方が性に合ってますよ」
さすがヒックスさん、仕事に対する姿勢が立派だ。
その直後にユウリがこちらを一瞥した気がしたが、また何か一言言われると感じた私はあからさまに顔を背けた。
その後ヒックスさんは、シーラとナギに他の船員さんたちの紹介をした。二人とも持ち前の明るさで、すぐにヒックスさんたちと仲良くなったのは言うまでもない。
「あいつら……。完全に旅行気分になってるな」
いつになくテンションの低いユウリがうんざりするようにつぶやく。その視線の先にいる二人は、まるで私が初めてポルトガから船に乗った時と同じような心境になっているようで、ずっと船体を眺めたり、船員さんたちにいろいろな話を聞いたりしている。その時の状況を経験した私にとっては、二人の言動は仕方のないことだと思っていた。
「まあまあ。二人とも船に乗るの楽しみにしてるみたいだしさ、大目に見てあげようよ」
「……」
なぜかユウリは私を胡乱な目で見ると、そのままヒックスさんのところへと行ってしまった。さっきの視線といい、言いたいことがあるならはっきり言えばいいのに。
「ねえねえミオちん、船の中案内して!!」
「あっ、待ってよシーラ!」
近くにいる私の存在に気づいたのか、いつの間にかこちらにやって来ていたシーラは、私の手を取るなり舷梯へと駆け出した。
「オレも行く!!」
ナギも興味があるようで、まるで幼い子供のように私たちの後をついてくる。
甲板には一人の船員が荷物を運んでいた。私はその船員に声をかけ、船内に入っていいかを尋ねた。
「ああ、いいですよ。そちらがユウリさんたちのお仲間さんですね? よろしくお願いします」
快活な雰囲気の若い船員は、シーラとナギに挨拶すると、すぐに作
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