第3部
ルザミ
新たな船出
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業に戻った。他にも何人もの船員がすれ違い、そのたびに私たちは彼らと挨拶を交わす。
「なんか皆、いい人たちばかりだね」
シーラがにこにこしながら呟く。ナギも上機嫌で船内をきょろきょろと見まわしている。二人ともこの船が気に入ったみたいで、つい私は嬉しくなった。
船内の廊下の突き当たりまで行くと、食堂が見えてきた。私の行きつけの場所でもあり、最も好きな場所だ。
「なんかミオ、嬉しそうだな」
ナギが目ざとく私の顔色を見ながら言った。
「だってここの食堂の料理、とってもおいしいんだもん!」
半ば開き直るかのように、きっぱりと言い切る私。その様子に、若干二人がたじろぐ。
「ま、まあ、飯がうまいのは大事だよな。なあ、シーラ」
だが、話を振られたシーラは、急に難しい顔をして考え込んだ。
「……ミオちん。ご飯もいいけど、お酒はあるのかな?」
……賢者になってもシーラは、相変わらずだった。
「う、うん。船員さんたちが飲んでるの見たことあるし、たぶんあるんじゃないかな?」
私の言葉にシーラは探るように辺りを見渡し始めた。するとほどなく、彼女の目が光った。
「あっ、あそこの戸棚にウイスキー発見!!」
まるで吸い寄せられるかのように、彼女は食堂の隅の戸棚に駆け寄ると、扉越しに見えるウイスキーを眺め始めたではないか。
「あいつ……、下手したらこの船にある酒、全部飲み干すかもしれねえぞ……」
「はは、まさかぁ……」
それからしばらく戸棚に張り付いたまま動かない彼女を見て、私は引きつった笑みを浮かべるしかなかった。
「というわけで、これからジパング探索に向けて出航する」
『おー!!』
ユウリの決断に、私を含めヒックスさんたちはそろって声を上げた。
あれからヒックスさんは残りの船員さんたちを船に呼び、他の船員たちは出航の準備に取り掛かった。私たちも早く準備を済ませるため、彼らの手伝いを進んで行う。そのおかげか、その日のうちに準備を終えることができた。だが、すでに日が落ちてしまったため、出航は次の日の早朝となったのだ。
そして翌朝。再び集合した私たちは早速船に乗り込むと、まだ日も昇り切らぬうちに出航した。海は穏やかで、船出するには最適なタイミングだった。
「とりあえず、先にルカさんがいる、東の大陸に向かいましょう。あの周辺には人が住めるような島はないと思いますので、まっすぐ向かうことにします」
ジパングを探す前に、先にルカのところへ行くというヒックスさんの判断に、皆は是非もなく了承した。
船は追い風を受け、あっという間に港を離れていく。
「うわー!! すっごい綺麗!! 見てみてミオちん、水平線の向こう、キラキラ光ってるよ!!」
「ホントだ!! こっちには魚も泳いでるよ!!」
シーラは見慣れない景
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