第一章
[2]次話
親が両方男だと
メキシコシチーの幼稚園に通っているモンセラ=エチェバリヤの家族は彼女と二人の若い男だ。二人でシェラスコ屋を経営している。
そんな彼等を見てだ、周囲はあからさまに思っていた。
「ホモか?」
「ゲイのカップルか?」
「ひょっとしなくても」
「男二人で一緒に住んで」
「店もやってて」
「女の子もいるけれど」
「そうした関係かしら」
こう思っていた、だが。
モンセラ、薄い褐色の肌で黒い大きな目とあどけない顔立ちにピンクの唇で黒い髪の毛を短くしている彼女は言った。
「ペドロお父さんもハイメお父さんも付き合ってないよ」
「そうなのか?」
「実は」
「そうだよ」
こう言うのだった。
「あって二人共兄弟だよ」
「えっ、そうなのか」
「あの二人兄弟か」
「そうなのか」
「寝る時だって違うベッドでね」
夜の話もだ、モンセラはそれがどういうことか知らないまま話した。
「私交代でお父さん達のベッドに入ってるのよ」
「そうなんだな」
「あの二人兄弟だったんだ」
「ゲイじゃなかったのか」
「そういえば顔立ちそっくりだな」
「言われてみれば」
周りもモンセラに言われてわかった。
「兄弟だってわかるな」
「イチャイチャしてるところ見たことないし」
「恋人同士じゃないな」
「その距離も」
「誤解だったわね」
「まあゲイでも今時大したことじゃないし」
こうした話をしてだった。
二人をそうした目で見ることはなくなった、だが。
当人達モンセラの父であるペドロとハイメはというと。
「別に何とも思ってなかったけれどな」
「やっぱり男二人だとそう見られるんだな」
「ゲイとかな」
「そういう目でな」
見れば二人共確かに似てる、黒い鳥の巣の様な短い髪の毛で黒いぱっちりとした目で唇は薄い。小さな唇でやや褐色の肌だ。背はどちらも一七一位で中肉で年齢は兄のペドロが二十代後半位でハイメが二十五位だ。
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