第二章
[8]前話
「その分ね」
「健康だってことか」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「今日もね」
「よかったんだな」
「そうよ、じゃあ拭いて」
お尻をというのだ。
「おむつをね」
「替えるんだな」
「そうするわ」
「そうなんだな、しかしな」
夫は笑顔で自分達の娘の尻を拭く妻を見て話した。
「平気なんだなこの匂い」
「いや、平気じゃないわよ」
妻もそれは否定した。
「臭いわよ」
「お前もそうか」
「けれど赤ちゃんはこうでしょ」
「出すんだな」
「大だけじゃなく小もね」
こちらもというのだ。
「両方ね」
「出すものか」
「人間誰だってそうでしょ」
「トイレに行かない人間なんてな」
それこそとだ、鉄平も答えた。
「いないな」
「それで赤ちゃんもよ」
「出すんだな」
「まして赤ちゃんは自分でおトイレ行けないし」
「その為のおむつだな」
「だからね」
そのおむつを毎日替えているからだというのだ。
「毎日替えてるし」
「臭くてもか」
「これも育児よ」
「親なら当然のことか」
「やっていくわ」
こう言って娘のおむつを替えた、こうした日々が続きやがてだった。
青空は成長しおむつが取れた、だがここで妻は言うのだった。
「歩ける様にもなったけれど」
「まだ目が離せないな」
「何処に行くかわからないからね」
「まだまだ放っておけないな」
「絶対にね」
「そうだな、おむつは取れたけれどな」
それでもとだ、鉄平は佳乃に話した。
「けれどな」
「それでもよ」
「まだまだ目が離せないな」
「そうよ、だからこれからもね」
「子育て頑張っていくか、俺もな」
鉄平も父親として言った。
「仕事があってもな」
「これまでもそうだったし」
「父親としてな」
「子育て頑張ってくれるのね」
「ああ、そうさせてもらうな」
「じゃあ二人でね」
「青空を育てていこうな」
二人で話してそしてだった。
それからも青空を育てていった、それは彼女が大学を出て就職するまで続いた。二人は彼女が就職して家を出るまで彼女から目を離さなかった。だがそれが親であり子育てというものだと就職した娘を見送って思ったのだった。
赤ちゃんの常 完
2023・4・24
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