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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第79話 痩せ狼
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 とはいえアーツでは隙が大きすぎる、しかも止まらないといけないのであの炎の餌食になるだけだ。


「皆さん、こちらです!」
「エマ!」


 足場の先に聳え立つ岩山、そこの崖の上からエマの声が聞こえた。無事だったんだね。


「こっちです!この横穴に逃げ込んでください!」


 エマの指差した方に小さな横穴があった。わたしたちは急いでその穴の中に逃げ込むと魔獣が首を突っ込ませてきた。


「こいつでも喰らえ!」
「はぁっ!」


 アガットとラウラが大剣を魔獣の頭に叩きつける。すると予想外の反撃に驚いたのか魔獣は悲鳴を上げて逃げていった。


「……ふう、なんとかなったわね」


 魔獣が去ったのを見たエステルは安堵の溜息を吐いた。


「エマ、無事で良かった」
「ふふっ、危険を察知したのでこの横穴に隠れていたんです」


 わたしはエマに話しかける。どうやら危険を察知して一人この横穴に身を潜めていたらしい。


「ニャー」
「あっ、一人じゃなかったんだね」


 するとエマの肩にセリーヌが乗って私もいるぞと言わんばかりに鳴いた。


「くそっ、合流できたのは良いがいつまでもこんなところにいられねえぞ。何とかして脱出しねえと……」
「ここは特異点ですからまずは主を探した方が良いと思います?」
「あん?お前ここがどこなのか分かるのか?」


 アガットが悪態をつくとエマが特異点と話した。エマはこの空間の事が分かるみたいだね。


「特異点とは高位の力を持った存在が生み出す空間の事です。分かりやすく言うと自分の好きに操れるダンジョンを作れて私達はそこに迷い込んでいるんですよ」
「へえ、そんな空間があったんだ」
「エマさんは博識なんですね」
「ふふっ、お婆ちゃんやお母さんに教えてもらったんです」


 エマの説明を聞いていたエステルとクローゼが感心した目でエマを見ていた。


「それでここから出るにはどうすればいいんだ?」
「特異点を生み出している存在を倒せばいいんです、そうすればこの空間は消滅して脱出できます」


 アガットの質問にエマはここを生み出している存在をやっつければ出られると答えた。それなら簡単だね。


「でもここまで来る時にいっぱい魔獣を見てきたけどどれが主なんだろう?」
「多分先程の大きな鳥型の魔獣が主だと思います。強い力を感じました」


 ティータがどの魔獣が主なのかと考えているとエマがさっき襲ってきた鳥型の魔獣が主だと話す。


「じゃあさっきの奴をやっつければいいのね!」
「でも一筋縄じゃいきません。あの魔獣は常に高い所から襲い掛かってきました、高い知能を持ってると思います。つまり私達
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