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仮面ライダーAP
北欧編 仮面ライダーRC&レジスタンスガールズ 第9話
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だ……終わりじゃないわ」

 これまでの怒りは全て、この先に待ち受けているノバシェードの残存戦力に注ぎ込めば良い。オーファンズヘブンの未来を賭けたこの戦いはまだ、始まったばかりなのだ。
 その意図を込めたニッテの言葉を耳にしたメンバー達は、それぞれの愛銃に次の弾薬を再装填(リロード)しながら、渋々とリーダーの後に続くように歩き出して行く。中には去り際に、プロトタイプγが消えた後に残った泡を踏み付けている者もいた。

「……」
「どうした?」
「いや……あいつら(・・・・)、ちゃんと無事にこの街を出られたのかな……って」

 そんな中。物憂げな表情で先頭を歩くニッテの横顔を覗き込み、エヴァが小首を傾げる。彼女に声を掛けられたニッテは、後ろ髪を引かれるような貌で、避難民キャンプの廃ビルが在る方角に視線を向けていた。
 解放戦線にとって、今は猫の手でも借りたいほどの苦境だというのに。それでもニッテは、異邦人達をこの戦いに巻き込みたくないという優しさで、新世代ライダー達を遠ざけようとしていたのだ。

「……全く。どこまでもお人好しなリーダーですね。まぁ、そんなニッテだから皆も付いて来てくれるんでしょうけど」
「ふっ。創設当初からニッテのことが心配だからと、仲間集めに奔走していたレンが言うと重みが違うな?」
「ちょっ……ヴィクトリア、余計なことは言わないでくださいっ!」
「そう言うヴィクトリアだって、ニッテが解放戦線の活動資金に困った時は、実家のへそくりを叩いてたじゃないか。ファルツ家の数少ない遺産を、さ」
「う、うるさいぞエヴァ! 私はファルツ家に名を連ねる者として、ノブレス・オブリージュを完遂しただけだっ!」

 ニッテの優しさに惹かれ、集まり、解放戦線を纏め上げてきた主力メンバー達はきゃあきゃあと言い合いながら歩みを進めている。
 後方を進む他のメンバー達が生暖かくその様子を見守る中、ニッテは微笑を浮かべて愛銃を握り締めていた。

(うん……大丈夫。このメンバー達なら、きっと……いえ、絶対に大丈夫。あいつらの力に頼らなくたって、私達なら必ず市長を救い出せるわ。私は、そう信じてる)

 それが如何に甘い考えであるかなど、知る由もなく――。

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