凶兆編 仮面ライダータキオン&エージェントガール 後編
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飛ばされたのは、その直後だった。空を切る間柴の身体は廃工場の壁を突き破り、外にまで放り出されてしまう。
だが、仲間達は誰も間柴を気遣う素振りを見せない。自業自得だから、というだけではない。「この程度」でどうにかなるような者ではないことを知っているから、心配などする必要がないのだ。
そんな彼らの見立て通り、間柴はニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながら、何事もなかったかのように起き上がろうとしている。その単細胞ぶりにため息を吐く着物姿の美女――加藤都子は、福大以上に呆れ返っているようだった。
「はぁ……相変わらずですね、間柴様は。いい加減、お戯れは怪我の元と学ばれては如何です?」
「……ハッハハハ! そんな必要はねぇぜ、加藤ッ! こういう『ご挨拶』も俺は嫌いじゃねぇからなァッ!」
加藤の苦言も笑い飛ばして立ち上がった間柴は――即座に地を蹴り、RC目掛けて凄まじい勢いで殴り掛かろうとしている。しかもその姿は、青い複眼と真紅の装甲、そして肥大化した両腕を持つ剛腕の始祖怪人「Datty」へと変身していた。
蒼色のまだら模様が浮かぶ巨大な腕を構える怪人が、本気のストレートパンチを打ち込もうとRCに急接近して行く。その殺気をセンサーで感知したロボット怪人も、無謀な挑戦者を真っ向から迎え打とうとしていた。
――だが、両者の間合いが詰まる直前。その間に飛び込んで来た1人の男がDattyの剛腕と首を掴み、払腰の要領で地面へと叩き付けてしまう。
「ご、はッ……!?」
轟音と共に地面に減り込んだDattyの身体を中心に、大きな亀裂が広がっていた。
予期せぬダメージによって変身を解除され、Dattyこと間柴が苦悶の声を上げている一方で。投げの威力を物語る地割れを目にした仲間達は、ようやく「茶番」が終わったかと鼻を鳴らしている。
間柴を地面に叩き付けて「ご挨拶」を終わらせた男は、銀色の髪を靡かせて不適な笑みを浮かべていた。端麗な容姿を持つその男は、野戦服の上にレッドブラウンのトレンチコートを羽織っている。
旧シェードの創設メンバーである始祖怪人。その中でも屈指の実力派であり、徳川清山と羽柴柳司郎が死去した今では「No.3」の座に就いている、戦馬聖だ。
「……止めときなァ、間柴。福大の言う通り、コイツは俺達と違ってユーモアってものが分からねェ。この辺にしておかねぇと、死ぬまで殺り合う羽目になるぜ?」
Dattyに変身した状態の間柴を投げ飛ばした上、体格で勝っているはずの彼をそのまま取り押さえている戦馬は、気さくな声色で最後の忠告を口にしていた。
一見すると皮肉屋な美男子と言った印象だが、間柴を抑え込んでいるその両腕は、元ヘ
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