特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第5話
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遠方からその状況を目撃していた隊長格の男は、無線機を握る手をわなわなと震わせながら、必死に部下達に指示を飛ばしていた。
「くッ……! 貴様ら、奴らとは距離を取って戦え! 飛び道具を使えない連中なら、遠くからッ……!?」
レッドホースマンもサザエオニヒメも、近接戦闘用の武器で戦っている。この近辺に居る怪人達に飛び道具が無いなら、ひたすら距離を取って戦うしかない。
だが、その判断が実を結ぶことはなかった。無線機を握り締めていた隊長格の頬を、何者かの「爪」が掠めて行ったのである。
「……飛び道具が、何だって?」
それは、隊長格の位置を補足していた「新手」の怪人の仕業であった。
青や赤を基調としたカラーリングと、炎を思わせる意匠を持った、2足歩行のヒクイドリ型怪人。その異形の怪物が、鋭い双眸で隊長格の男を射抜いている。
踵に備わっているスパイク状の爪。このヒクイドリ型怪人は、それを射出して遠方の敵を狙い撃つことが出来るのだ。
「ヒ、ヒクイドリの怪物……!?」
「確かに俺達の中には、接近戦に特化した連中が多い。だが、それは飛び道具が無いってことじゃあない」
ヒクイドリ型怪人――ブレイズキャサワリーこと、ブリード・フラナガン。
ニューヨークのブルックリン区にあるスラム街で生まれ育ったストリートチルドレンだった彼もまた、生きるために改造人間の傭兵にならざるを得なかった者達の1人であった。
「……使うまでも無いのさ。歩兵同士の白兵戦となれば、俺達に負ける道理などないのだからなッ!」
「え、ええいッ! あの鳥野郎を先に潰せッ! 何としてもこちらに近付けさせるなァッ!」
彼の存在を危険視する隊長格の指示により、兵士達は一斉に銃口をブレイズキャサワリーの方向へと向ける。
だが、銃弾の雨を掻い潜って兵士達の眼前に飛び込んで来た鳥の怪人は、すでに再生していた踵の爪を薙ぎ払うように振るい、その蹴撃で彼らの肉体を切り裂いてしまう。
「ぎゃぁあぁあッ! た、助けッ――!」
「聞こえないなァッ! ……この戦火を振り撒いたお前達が、そうだったようにッ!」
国防軍の兵士達が、ツジム村の悲鳴に耳を貸さなかったように。命乞いする彼らの絶叫に耳を傾けることなく、ブレイズキャサワリーは踵の爪を活かした連続回し蹴りで、兵士達の首を次々と刎ねて行く。
――スラム街での飢えに苦しむ日々から抜け出そうと、アメリカ陸軍に志願した彼はベトナム戦争で瀕死の重傷を負っていた。そんな彼を発見した徳川清山の改造手術が無ければ、彼はそのまま命を落としていたのである。
人間の肉体を捨ててでも、何としても生き延びる。その生存本能に従い、これまで戦い続けて来た彼は今――初めて、命よりも
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