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仮面ライダーAP
特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第5話
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コイツの装甲ッ……! 何発ブチ込んでもビクともしねぇッ!」
「くそッ、だったら手榴弾だ! 皆伏せろォッ!」

 ならば、破片手榴弾(グレネード)で吹き飛ばしてやるしかない。そう判断した兵士達の1人が、勢いよく手榴弾を怪人目掛けて投げ付ける。
 怪人の頭部に命中した手榴弾が、その場で爆ぜたのはその直後だった。が、爆発の中から現れた怪人は――全くの無傷。何事もなかったかのように、戦闘を再開している。

「お、おい……!」
「嘘だろ……!?」

 銃弾どころか、手榴弾すら通じない戦車並みの装甲。そんな強度の鎧がこの世に存在している事実に慄き、兵士達が後退りして行く。
 だが、サザエ型の怪人はすでに彼らに狙いを定めていた。決して逃しはしない、と言わんばかりの冷たい殺気が、その全身から溢れ出ている。

「……携行火器で私の装甲を破りたいというのなら、RPG-7を持って来るべきだったな。手榴弾如きが通じると思われるとは、この私も随分と安く見られたものだ」

 サザエオニヒメこと、福大園子(ふくだいそのこ)。右腕にサザエの殻を想起させる螺旋状の武器(ドリルアーム)を備えている彼女もまた――時代に翻弄され、改造人間となる道を選んだ1人であった。
 戦後、世界各地で顕在化した工業廃液による数々の環境汚染。それが引き金となった「疫病」は両親の命と、彼女自身の居場所を無慈悲に奪い去った。経済至上主義の風潮が、彼女の未来を殺したのだ。

 行く先々で偏見と差別に遭ってきた彼女は、徳川清山の誘いに乗り――改造人間の傭兵(サイボーグ・マーセナリー)としての生き方に、己の存在意義を見出すようになったのである。
 強者の都合一つで、どこまでも弱者は搾取され、蹂躙される。国防軍の暴虐によってその「現実」を思い起こされた彼女は、左手の拳を静かに震わせていた。

「我々が望んでこの力を得たように、貴様達は望んで銃を取った。そして、この作戦に加担したのだ。……ならば、その『ケジメ』を付けねばなるまいな?」

 改造人間になったこと。殺しを稼業とする傭兵の道を選んだこと。
 全てが己自身の選択によるものならば、その「ケジメ」は己自身で付けなければならない。

 その信条に則り、彼女は無慈悲な殺戮に加担した国防軍の兵士達にも、然るべき「ケジメ」を強いるのだった。
 右腕の武器を高速回転させ、一気に兵士達の懐に飛び込んだ彼女は――薙ぎ払うように、その右腕の回転で兵士達の肉体を斬り刻んで行く。

「ぐっ、ぎゃあぁああぁあッ!」
「……痛いか? 苦しいか? ならばもっと味わえ、あの村人達の分までな……!」

 彼らの断末魔が絶え果てるまで、右腕の回転が止まることはない。抉られた肉体から飛び散る血飛沫と絶叫が、猛火に彩られた夜空を衝く。

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