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仮面ライダーAP
特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第5話
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 カマキリザードによってティーガーIを奪われたことで、国防軍の兵士達はさらに劣勢に陥っていた。が、ケルノソウルの火炎放射による森林火災と猛煙に視界を阻まれている彼らは詳細な戦況を観測することが出来ず、眼前の怪人達にのみ気を取られている。

 ここで即座に逃げ出していれば、ほんの数秒は命が続いていたかも知れない。だが彼らはもはや、その道すら見失っていたのだ。

「……な、なんだアイツはッ! 馬の怪物……なのか!?」
「くそっ、なんてすばしっこいんだッ!」

 2本の脚で戦火の大地を縦横無尽に駆け回り、飛び回る馬型の怪人。
 深紅のボディを持つその怪人は、人間と同じ5本指の手で一振りの両手剣(バスタードソード)を振るい、国防軍の兵士達を翻弄していた。

「……おいおい、ノロ過ぎてあくびが出るぜ。ここの軍隊は的になる訓練でもやってんのかい」

 レッドホースマンこと、戦馬聖(せんばひじり)
 戦後、シベリアに抑留されていた元日本軍兵士とロシア人女性との間に生まれたハーフである彼は、橋部や速猟と同様に偏見と差別の中で育って来た。

 幼少期の頃から異形と謗られて来た彼が、本物の異形――改造人間になることを躊躇する理由など、あるはずもなく。
 徳川清山の手で改造人間の傭兵(サイボーグ・マーセナリー)と化した彼は、長きに渡り醸成されてきた憤怒をここぞとばかりに発露させ、兵士達を両手剣で次々と斬り倒している。

「ぎゃあぁあッ……!」
「誰の命だって、軽いもんじゃあねぇ。……それでも使い潰されるしかないってぇなら、せめてそこには『意義』がなきゃあならねぇんだ。……お宅ら、それを考えてみたことがあるのかい?」

 だが、少なくともこの頃は無慈悲な殺戮マシーンに成り果てていたわけではない。彼の脳裏にはまだ、亡き両親の無惨な最期が焼き付いていた。

 過酷な労働に斃れ、命を落とした父。その悲しみに暮れ、後を追うように病死した母。力亡き命をどこまでも軽んじる、時代という名の暴力。
 それを目の当たりにしながら育って来た戦馬にとって、死に「意義」を持たせることは何よりも優先されなければならない事項の一つとなっていた。両親の死は決して、吹けば飛ぶような軽い事柄ではないのだと、叫びたかったのである。

 怪人に堕ちた今でも、そんな想いに縋るように戦って来た彼だからこそ。死に伴う意義すらも踏み躙る国防軍の暴虐に、獰猛な怒りを爆発させているのだ。

 ――その頃、他の場所では。サザエを想起させる甲殻状の装甲で全身を固めた怪人を、何人もの兵士達が包囲していた。

 だが、突撃銃の連射を浴びてもその装甲には傷一つ付いていない。
 銃弾の嵐に見舞われながらも、サザエの怪人は悠然と炎の戦場を闊歩している。

「な、なんだ
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