第2部
第2部 閑話
とりとめのない話・シーラとワーグナー
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「そう言えばシーラ、ダーマでノールさんと話してたとき、『ワーグナー』って言ってなかった?」
「あー、そうだね。ノールは息子が一人いるんだけど、その子がワーグナーって言うの。あたしと同じ、僧侶の修行をしてたんだよ」
「へえ、そうなんだ。じゃああのとき、その人には会ったの?」
「ううん。だってもうダーマにはいないから。たしか何年か前に、修行のために他の神殿に行ったはずだよ」
「他の神殿……?」
「そう。ええとね、うろ覚えだけど、なんかのへそってところが近くにある場所だよ」
「……もしかしてそこって、ランシールにある『地球のへそ』?」
「えっ、ミオちん、何で知ってんの!?」
「知ってるも何も、私たちそこで修行してきたんだよ。そこでワーグナーさんにも会ってきたよ」
「ホントに!?元気だった?」
「あー、うん。すごく親切にしてもらったよ。それに、すごく王子様みたいな人だった」
「ああ、外見だけは超イケメンだからね、ワーグナーは」
「でも、普段は『へそにゃん』って言うマスコットキャラに扮して町興しに貢献してるみたい」
「……」
「どうしたの、シーラ?急にテンション下がってるけど!?」
「あ、うん……。ワーグナーってば、相変わらずだなあって」
「どういうこと?ダーマでも着ぐるみ着てたの?」
「何て言うか……。そう言う役回りをするのが得意なんだよね、昔から」
「昔から?」
「そう。ワーグナーって、修行中いっつもお腹痛いとか言って、しょっちゅうトイレに行ってたし」
「ああ、そう言う人っているよね」
「僧侶の呪文の試験の時だって、本番に弱いのか緊張してミス連発するし。他の修行僧によくパシリにされてたし」
「それは……」
「ああ見えて、字も汚いし、運動音痴だし、鈍感だし」
「……」
「でも、ワーグナーのおかげで、人は外見で判断しちゃ行けないって学べたからね、彼には感謝してるんだ☆」
「いや……感謝するポイントが大分ずれてる気がするんだけど……」
「まあまあ、ミオちんも長い間一緒にいればわかるよ。ワーグナーの中身がいかにポンコツか」
「それはちょっと言いすぎじゃない?」
その頃ランシールでは、へそにゃんがくしゃみを連発していた。
「なんだろう……。誰かがボクの噂をしてる気がする……」
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