第二章
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井本は彼女の夫でサラリーマンをしている自分の弟である涼茶色のやや縮れた髪の毛を右で分け短く斜め上に向いた眉と明るくきりっとした二重の目に強い口元とやや細長い顔と一八〇を超える長身の彼に対して二人きりになった時に話した。
「遥さん随分奇麗好きだよな」
「ああ、実はね」
涼は兄にすぐに言った。
「遥ちゃん喘息持ちなんだよ」
「えっ、そうなのか」
「普段は何もないけれど」
普通に暮らせるがというのだ。
「埃っぽいとね」
「咳出るんだ」
「子供の頃かららしくて」
それでとだ、涼はさらに話した。
「俺も結婚する前お義父さんとお義母さんに言われたんだよ」
「あちらのご両親にか」
「そうなんだよ」
こう話した。
「気をつけてくれって」
「そうだったんだな」
「だから俺も家に帰ったら」
その時はというのだ。
「ちゃんとだよ」
「手洗いしてるんだな」
「うがいもね」
「そうなんだな」
「それで兄貴汚れる仕事だろ」
「チリ紙交換に清掃業だからな」
井本は自分の仕事のことも話した。
「それで埃だってな」
「どうしても付くよな」
「ああ、それはな」
避けられないとだ、井本も答えた。
「どうしてもな」
「別に兄貴を嫌っても汚いともな」
「思ってないんだな」
「遥ちゃんはそうした娘なんだよ」
喘息の持病があるというのだ。
「それでなんだよ」
「そういうことか」
「ああ、だから兄貴もな」
「家族だからか」
「そうしたことはわかってな」
そしてというのだ。
「気を付けてくれよ」
「それじゃあな、そんな事情があるなんてな」
井本はあらためて言った。
「俺も知らなかったしな」
「それで知ったからか」
「これからは気を付けるな」
「宜しくな」
「ああ、喘息だとな」
それならとだ、井本はさらに言った。
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