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地方に移って
第二章

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「むしろな」
「やっぱりそうですか」
「あんた腕はいいよ」
 有藤のマッサージ師としての技量のことも話した。
「けれどあそこは他の仕事もだけれどな」
「マッサージ師も多いですね」
「だから相当競争が激しくてな」
 有藤が実感した通りにというのだ。
「ちょっとしたことで苦しくなるんだよ」
「実際俺も苦しかったです」
「そうだよ、だから思い切って離れてな」
 その東京からというのだ。
「マッサージ師の少ない街でやるのもいいんだよ」
「そうなんですね」
「それもやり方だよ、それでこの街どうだ?」
「いいですね、繁盛していることも嬉しいですが」 
 有藤はまずは仕事のことから答えた。
「物価も安くてそれなりに色々揃っていて」
「いいだろ」
「はい、東京だけじゃないですね」
「そうさ、じゃあこれからも宜しくな」
「お願いします」
 有藤はその人に笑顔で言葉を返した、そして実家の母にいい連絡をした。
 やがてこの街で結婚して家庭を持った、もう東京のことはどうでもよかった。この街で一生暮らしていこうと決意して実際にそうしていった。


地方に移って   完


                 2023・4・21
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