第三章
[8]前話
「苦しんで事故で目も耳も失ったサングラスと包帯の人に言われた」
「ああ、その人実は」
「それでかえって色々なものを見て聞こえる様になったが」
「超能力に目覚めて」
「明言していないがな」
作品の中ではというのだ。
「そうだったらしい、だが」
「そうなって逆にですね」
「知らなくていいことまで知る様になってな」
「苦労したと」
「そんなことを言っていた」
作中で主人公にというのだ。
「達観した様にな」
「ううん、そう考えたら」
「わかるな、人の心なぞだ」
「読めないならですね」
「それに越したことはない」
「そういうことですね」
「この世で最もおぞましいものは何か」
佳織は梨衣に言った。
「若しかするとそれはな」
「人の心ですか」
「そう思う時がないか」
「ですね、悪意があって闇もあって」
「どれだけおぞましいか」
「そう思うと」
「そうだ、本当にな」
まさに、そうした言葉だった。
「人の心はな」
「読めないことは有り難いですね」
「そうかもな、人は見なくていいもの読まなくていいものもある」
梨衣に腕を組んで話した。
「その最たるものがだ」
「人の心ですね」
「そうだろう、だからな」
「はい、もうそうしたこと考えないです」
梨衣は佳織に答えた。
「私は」
「賢明な判断だ、それが出来る様になってもな」
「しない方がいいですね」
「そうだろう、おぞましいものを知って後悔しても遅い」
こうも言ってだった。
佳織も梨衣が読んでいる漫画を彼女は最初の第一巻から読んだ、そして素直に面白いと言ったがやはり人の心が読めたらとは言わなかったのだった。
心が読めたら怖い 完
2023・4・21
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